質問主意書

第206回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二〇六第三号
  令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出北海道太平洋沿岸における赤潮被害から漁業・水産加工業を救済することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出北海道太平洋沿岸における赤潮被害から漁業・水産加工業を救済することに関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、北海道の太平洋沿岸における漁業被害(以下「漁業被害」という。)の状況を把握する等のため、令和三年十月七日から八日にかけて、水産庁増殖推進部漁場資源課長ほか同庁職員六名を派遣し、北海道豊頃町、浦幌町、大樹町、広尾町、えりも町及び様似町並びに厚岸漁業協同組合、釧路市東部漁業協同組合、釧路市漁業協同組合、昆布森漁業協同組合、白糠漁業協同組合、大津漁業協同組合、大樹漁業協同組合、広尾漁業協同組合及びえりも漁業協同組合から聞き取りを行ったところである。また、同月十五日から十六日にかけて、武部農林水産副大臣ほか同庁職員二名を派遣し、北海道厚岸町、浜中町、釧路市、釧路町、白糠町、浦幌町、豊頃町、大樹町、広尾町、えりも町、様似町及び浦河町並びに厚岸漁業協同組合、浜中漁業協同組合、散布漁業協同組合、釧路市漁業協同組合、釧路市東部漁業協同組合、昆布森漁業協同組合、白糠漁業協同組合、大津漁業協同組合、大樹漁業協同組合、広尾漁業協同組合、えりも漁業協同組合及び日高中央漁業協同組合から聞き取りを行ったところである。

一の2について

 お尋ねの「道東地域における赤潮被害」については、北海道庁によると、これまで確認したことはないとのことである。また、今般の漁業被害については、先の答弁書(令和三年十月二十二日内閣参質二〇五第三二号)の一、二及び四についてでお答えしたとおり、赤潮の影響だけではなく、海域の高水温及び大雨の影響を含め、同庁が原因を調査中であると承知している。

 お尋ねの「赤潮の原因となる植物プランクトン名と特徴」については、国立研究開発法人水産研究・教育機構、地方独立行政法人北海道立総合研究機構等による分析結果として、令和三年十月六日に、厚岸沿岸から浦河沿岸までの海域で発生した赤潮の主たる原因となる植物プランクトンが、カレニア・セリフォルミスであることを特定したところである。カレニア・セリフォルミスによる赤潮の発生が確認されたのは国内で初めてである。また、カレニア・セリフォルミスは、魚類、貝類等の水産資源に有害な、低水温の環境下においても増殖する植物プランクトンである渦鞭(べん)毛藻類の一種であり、令和二年十月にカムチャツカ半島沿岸で発生した赤潮においてもその原因となった植物プランクトンと考えられている。

一の3及び4について

 北海道庁が公表している「太平洋海域における漁業被害の概況(令和三年十一月五日現在)」によると、「被害状況等は、漁協からの聞き取りによる概数のため、今後の調査に伴い変動する可能性がある」とした上で、被害額は、「全道計」で約八十億六百万円、うち、ウニにあっては約七十一億八千七百万円、サケにあっては約七千万円、「サクラマス(十勝)などの試験養殖やブリ(日高)、クロソイ(十勝)のほか、影響が及んでいるツブ、タコや増殖用のサケなど」を含めた「その他」にあっては約七億四千八百万円であったとしている。また、お尋ねの「今後の漁業・水産業への影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に将来分も含めた今般の漁業被害の総額を指すのであれば、現在、同庁において漁業被害の状況を調査中であることから、予断をもってお答えすることは困難である。

一の5について

 令和二年十月にカムチャツカ半島沿岸において発生した赤潮に関する報道を踏まえ、国立研究開発法人水産研究・教育機構から、地方独立行政法人北海道立総合研究機構に対し、当該赤潮の原因種と考えられる生物種及びその観察手法に関する情報提供や注意喚起を行っており、当該情報提供や注意喚起が行われたことについては、水産庁においても承知していたところである。

二の1について

 お尋ねの「台風」については具体的にいずれの台風を指すのか明らかではないためお答えすることは困難であるが、「二〇一四年に関東甲信越地方を襲った大雪被害」については災害関連資金の無利子化、農業用ハウス等の再建・修繕、共同利用施設の整備及び果樹の改植への助成並びに被災農業法人等の雇用の維持、生産資材の確保及び被災した畜産農家の経営安定のための支援を実施したところである。

二の2について

 今般の漁業被害により影響を受ける漁業協同組合に対しては、北海道庁との連携の下、引き続き、どのような対応が可能か検討してまいりたい。また、御指摘の「水産加工業者、被用者」に対し、今般の漁業被害が具体的にどのような影響を及ぼしているかについては、現時点において、同庁からも報告を受けておらず、承知していない。どのような影響を及ぼしているかについて、今後とも注視してまいりたい。