質問主意書

第206回国会(特別会)

質問主意書

質問第一一号

ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十一月十日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問主意書

 河野太郎行政改革担当大臣は、令和三年六月十五日の大臣記者会見において、「テレワークができない理由の中で、ファックスがあるからというのがありましたので、それはメールに切り替えてください」と述べた。その後、令和三年七月七日付けの北海道新聞の報道によると、各省庁から内閣官房行政改革推進本部事務局に対し、廃止が難しいとの回答が四百件程度あり、現時点でもファクシミリ(以下「ファックス」という。)を用いた行政事務は継続しているようである。

 また、前述の北海道新聞及び令和三年七月八日付けのニュースサイトSAKISIRUの記事には、内閣官房行政改革推進本部事務局が取りまとめたファックスの廃止が難しい理由について記載されている。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 ファックスの廃止が難しい理由について、大臣記者会見において詳細は語られていない。内閣官房行政改革推進本部事務局が把握しているファックスの廃止が難しい理由及び理由ごとの件数について、明らかにされたい。

二 ファックスの廃止について、前述の北海道新聞の記事では「通信環境が十分ではない」ことが省庁からの反論として示されているが、具体的にどのような内容か。通信環境が十分でないというのは、各省庁が通信環境の計画的な整備を怠った結果であり、令和二年度末に政府ネットワーク環境の再構築も完了したことから、ファックスの存続を認める理由にしてはならないと考えるが、政府の見解を問う。また、ファックス回線をメール専用の通信回線にすることで、通信環境は確保できると考えるが、政府の見解を問う。

三 ファックスを存続させる理由として、前述の北海道新聞の記事では「セキュリティを確保する新システムが必要」という情報漏えいを防ぐ観点から、省庁からの反論が示されている。しかしながら、ファックスの誤送信は、民間や地方自治体でも発生しており、新型コロナウイルス感染症の感染者情報が漏えいした事例もある。また、ファックスは、電話番号さえ分かれば複合機を乗っ取りネットワーク侵入が可能であるため、電子署名や暗号化技術など様々なセキュリティ対策を追加しやすいメールの方が優れていると考えられる。ファックスの存続根拠として、セキュリティの確保は理由にならないと考えるが、政府の見解を問う。

四 ファックスについて、前述のSAKISIRUの記事では「ニュースをクリッピングし、ファックスで送ってもらう民間のサービスを利用しているがメールで送付にすると料金が二倍以上に跳ね上がり、予算的に難しい」点が反論として示されている。しかし、クリッピングサービスを行う事業者の料金表において、基本料金はファックス送付の方が高く、一記事当たりの単価はファックスもネット送信でも同額であったとされる。このクリッピング契約はどのようなサービスを内容とする契約で予算はいくらであるか。また、予算面の反論は、算定根拠が妥当であるか検証し、妥当でない場合は、メールへの切替えを促す必要はないか、政府の見解を問う。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。