質問主意書

第205回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇五第二八号
  令和三年十月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出偽装滞在者に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出偽装滞在者に関する質問に対する答弁書

一、二及び八について

 お尋ねの「偽装滞在者」の定義については、我が国の現行の法令において規定しているものはないが、偽装結婚、偽装留学、偽装就労など、偽変造文書や虚偽文書を行使するなどして身分や活動目的を偽り、あたかも在留資格のいずれかに該当するかのごとく偽装して不正に上陸・在留許可を受けて在留する者、又は、必ずしも当初から活動目的を偽っていたわけではないが、現に有する在留資格とはかけ離れて不法に就労等する者のことである。

 御指摘の「偽装滞在」は、不正の手段で上陸・在留許可を受けるという行為の悪質性においても、本来であれば受けることのできない許可を受けて、本邦に上陸・在留するという行為の結果の重大性においても、不法入国や不法上陸と同様である。

 また、御指摘の「偽装滞在者」は、表見上、あくまでも合法的に在留していることから、そもそも違反に関する情報を得ることが難しく、その実態を把握することは困難であるが、警察、地方出入国在留管理局等の関係機関においては、緊密に連携しつつ、一般の方々や退去強制手続を執られた者等からの情報の収集、関係機関間の情報の交換等を行い、在留資格の取消手続を実施している状況にあるところ、引き続き、在留資格の取消制度を的確に運用するために必要な体制の整備について検討を続けてまいりたい。

三について

 御指摘の「婚姻当初は日本人配偶者と良好な婚姻関係にあったものの、その後、婚姻関係が悪化した外国人」の意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「偽装滞在者」の定義については、我が国の現行の法令において規定しているものはないことから、お尋ねの事例が「偽装滞在者」に該当するか否かについては、お答えすることは困難である。

四について

 お尋ねの「偽装永住者に関する情報提供によって在留資格取消事由が判明した場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「偽装永住者」に関する情報提供を受け、その情報の内容等により、在留資格の取消事由に該当する疑いがある場合には、所要の調査を行った上で、必要に応じて、意見聴取を実施し、在留資格を取り消すかどうかを判断しているところである。

五及び六について

 犯罪の成否については捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であることから、政府としてお答えすることは差し控えたい。

七について

 お尋ねの「法務大臣が在留資格取消の手続を開始しない旨の決定をした場合においても、在留資格等不正取得罪または電磁的公正証書原本不実記録罪及びその両方が成立すると考えられる場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三十九条第二項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めているので、右の要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解される。