質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四五号

岸田総理の「我が国の民主主義そのものが危機である」との認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十四日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   岸田総理の「我が国の民主主義そのものが危機である」との認識に関する質問主意書

 岸田総理は、令和三年十月十一日の衆議院本会議において、「そして、民主主義の危機についてお尋ねがありました。総裁就任の会見でも、国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かない、こういった状況を捉えて、今まさに我が国の民主主義そのものが危機である、このように申し上げた次第です。国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、丁寧な対話を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策に取り組んでいく、こうしたことによってのみ、民主主義の危機を乗り越えていけるものと信じております。」と答弁している。

 これについて以下質問する。

一 岸田総理が訴えている我が国の「民主主義の危機」とは一体どのようなものであるのかについて、危機の要素と考える具体例などを示しつつ分かりやすく説明されたい。

二 岸田総理は「我が国の民主主義そのものが危機である」と考え始めたのは何時頃からどのような出来事を契機としてのものなのか。

三 岸田総理は、集団的自衛権行使を容認した憲法違反の七月一日の閣議決定及び安保法制の制定、国家公務員法及び検察庁法違反の黒川検事長の定年延長、菅前総理による日本学術会議法違反の日本学術会議会員の任命拒否は、我が国の民主主義の危機と考えているのか。民主主義の危機と考えない場合はその理由を示されたい。

四 岸田総理は、森友学園問題に際して財務省が行った公文書の改ざん及びその参議院及び会計検査院への提出は我が国の民主主義の危機と考えているのか。

 また、岸田総理は、この公文書の改ざんを原因として近畿財務局職員が自死に追い込まれたことは我が国の民主主義の危機と考えているのか。

五 岸田総理が考える民主主義とは何か。民主主義とは誰の誰による誰のためのものと考えているのか。これらに関し、岸田総理の民主主義に係る見解について、憲法の前文の文言を用いて説明が出来るのであれば説明されたい。

六 憲法前文には「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」と民主制の原理が定められているところ、本年十月四日の岸田内閣発足後、一度も予算委員会や常任委員会を開催することなく解散総選挙を行うことは、岸田総理や閣僚の資質、岸田政権の新型コロナウイルス感染症対策や経済政策等の重要施策の妥当性等について、国民はもとより野党議員ですら認識することは困難であり、このような事態で行われる解散総選挙は「国民の厳粛な信託によるもの」とは言えない、党利党略のものではないか。

七 岸田総理が本年十月十四日に行う衆議院の解散及び同月三十一日に行う総選挙の投票は、自民党の自民党による自民党のための民主主義なのではないか。また、こうした事態こそが我が国の民主主義の危機というべきなのではないか。

  右質問する。