質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四〇号

デジタル庁発足に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十四日

伊藤 孝恵


       参議院議長 山東 昭子 殿



   デジタル庁発足に関する質問主意書

 デジタル庁発足にあたり、国家公務員のデジタル人材不足を補うため、民間企業からの出向を受け入れるなど、約六百人の職員のうち民間人材が約四割であり、かつ、在宅勤務も可能としていると承知している。デジタル庁の業務におけるコンプライアンス及び透明性・公平性の確保については喫緊の課題であることから、以下質問する。

一 デジタル庁における民間人材の採用について

1 デジタル庁発足前の第一回の公募から今日に至るまでの公募による採用数、採用者の区分(常勤職員、非常勤職員)、内閣官房IT総合戦略室から転籍した者も含め、デジタル庁全体における民間人材の割合と、兼業実態、在宅勤務実態について示されたい。

2 デジタル庁においては、内閣人事局が出している「幹部職・管理職」への民間人材の登用及び常勤・非常勤を問わない受入者の出身民間企業の公表よりも、もう一段高いレベルの透明性確保のための公表が必要だと思うが、見解如何。

3 職員の任用状況の公表について、平成二十一年三月三日閣議決定の採用昇任等基本方針の四(四)では「国民の信頼を確保する観点から(中略)国民に分かりやすい形で公表する」とされていたところ、平成二十六年六月二十四日閣議決定の採用昇任等基本方針の七(三)では「国民に分かりやすい形で公表する」のみになっている。「国民の信頼を確保する観点」という語句が削られた理由如何。

 また、この公表については、毎年全ての省庁が同じ形式で公表するのではなく、国民の関心、国会での議論等を踏まえ、省庁によってはより踏み込んだ内容を公表していくことが公務に対する国民の信頼の確保につながるものと考えるが、よりきめ細かく、かつ、踏み込んだ内容を公表させる考えはあるか。

4 今後、海外人材採用についても行う流れであると考えるが、その際のガバナンスについてどのように考えているか。

二 デジタル庁の業務におけるコンプライアンス・透明性・公平性の確保について

1 デジタル庁への入庁に当たり、「入札制限等に関する誓約書」にサインすべき対象者は何人で、これまでに何人が当該誓約書を提出済であるか。また、サインを拒むことはできるのか。サインを拒んだ場合はデジタル庁としてどのような対応をするのか。その場合の内規等はあるのか。それぞれ示されたい。

2 「入札制限等に関する誓約書」第六条の「兼業先の開示」は、(一)誓約書作成日時点、(二)作成日から一年前までの期間、(三)在職中に関するもののみで、退職後に関する表記はない。民間企業とのつながりがより深いデジタル庁においては、同庁退職後に至るまでを見越して、談合等のないフェアな調達が行われるようにするなど、他の省庁以上に民間との関係に意を注ぐべきと考えるところ、同庁として、例えば国家公務員の管理職に適用されている再就職規制のような対応を、非管理職や非常勤職員を含めて行う等を検討しているか、見解如何。

3 「入札制限等に関する誓約書」における誓約内容に虚偽があった場合及び誓約に反する形での業務遂行が認められた場合の、罰則等の有無を含めた対応策について具体的に示されたい。

4 「デジタル庁における入札制限等のあり方に関する検討会報告書」(令和三年八月二十五日)における「民間人材の採用時に、兼業先の情報に加え、株式保有情報、保有する特許権を登録させるとともに、利益相反行為等には関与しない旨の誓約を求めるべき」旨の指摘について、誓約書の提出以外にどのように具現化しているのか示されたい。

5 非常勤職員、兼業中の職員、在宅勤務者への、業務要件定義と評価指標、評価方法について示されたい。

6 国家公務員倫理規程上の「利害関係者」について、デジタル庁の業務において具体的にどう想定しているのか示されたい。また、非常勤職員を含め、国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程の遵守のための取組についても具体的に示されたい。

7 「デジタル庁における透明性・公平性確保に関するご協力のお願い」(二〇二一年九月一日)以外に、デジタル庁における内規、ルール等があれば示されたい。

8 デジタル庁コンプライアンス委員会資料(令和三年九月二十九日)にある「適用除外申請」の審査が形骸化しないための具体策を示されたい。また、可否を審査するデジタル庁コンプライアンス委員会の審査のプロセス、審査にあたる人物を具体的に示されたい。

9 情報漏洩等の問題が起きた場合の、デジタル庁コンプライアンス委員会の審査のプロセス、審査にあたる人物を具体的に示されたい。

10 民間企業で働きながら公務部門の業務をする上での、デジタル庁の考える情報漏洩対策、談合等を含む利益相反行為対策について、特にデジタル庁コンプライアンス委員会の役割や罰則等による担保が重要と考えるが、具体的に示されたい。また、上記に挙げたもの以外にどのような取組があるか、具体的に示されたい。

11 国民の信頼に足るデジタル庁となるためには、調達の透明性や、開発やメンテナンスにかかる投資額、システムの使用率などを法律上の規定の有無にかかわらず積極的に公表していくことなどが必須だと考えるが、見解如何。

12 デジタル庁の広報体制について、未だ記者クラブが設置されない、問合せ先の電話番号に電話をかけても電話に出ない等の課題があると承知している。国民の信頼に足るデジタル庁となるためには、このような広報に対する姿勢も改めるべきと考えるが、今後の広報体制や情報開示についての意向を示されたい。

  右質問する。