質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三一号

女性Vチューバーと千葉県警のコラボ動画の削除と政府の男女共同参画基本計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十一日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   女性Vチューバーと千葉県警のコラボ動画の削除と政府の男女共同参画基本計画に関する質問主意書

 令和三年十月四日付けのNHKウェブサイト上のWeb特集「「ミニスカート姿」女性Vチューバー動画の波紋」(以下「本件記事」という。)によると、主に松戸市で活動しているVチューバー(本件記事で「アニメやCGで作ったキャラクターを動かしてユーチューバーのように動画を配信する人。ビジネスの世界などで活用が広がっている」と定義されているタレントをいう。以下同じ。)「戸定梨香」さん(以下「本件タレント」という。)と千葉県警の松戸警察署などがコラボレーションし、交通ルールを啓発する動画(以下「本件動画」という。)を千葉県警公式YouTubeやツイッターに掲載していた。

 ところが、「全国フェミニスト議員連盟」という団体が、本件タレントについて「性的対象物として描写し、かつ強調しています」との抗議声明(以下「本件声明」という。)を発表し、これを受け、千葉県警は本件動画を削除した。

 本件動画の削除に関し、本件タレントが所属する企業の女性社長(以下「本件社長」という。)は本件記事で「いろんな意見があるのは当然だと思うが、議論がなければ同じことが続いてしまうので削除されて終わりにはしたくない。私やタレントの気持ちはどうなるのでしょうか。今後地域を盛り上げるPRに関わることができるのか不安です。作品を作る皆さんの気持ち、努力を見た目で判断しないでください。それこそが女性蔑視なのではないでしょうか。動画の制作に関わった私も女性です。表現をする上での女性の権利は一体何なのか」と述べている。また、本件声明に抗議する署名が六万筆以上集まったほか、本件記事においては、本件動画を問題視した者は、二十人中わずか一人であった。

 ところで、第五次男女共同参画基本計画(令和二年十二月二十五日閣議決定。以下「第五次計画」という。)は、当初の案文では「女性の人権を尊重した表現の推進をはじめ男女共同参画に関する各業界における自主的な取組を促進する」とされていたものが、閣議決定時には「表現の自由を十分尊重しながら、性暴力表現など実在する女性の人権を侵害するような情報への対策をはじめ男女共同参画に関する各業界における自主的な取組を促進する」と修正されて閣議決定された。また、当初の案文では「メディアにおける不適切な性・暴力表現を防止する」とされていたものが、閣議決定時には「違法な性・暴力表現の流通等を防止する」と修正されて閣議決定された。どちらも、当初の案文は憲法に規定された表現の自由に対する配慮がないとの批判を免れず、修正されるのは当然であると考える。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 第五次計画中「メディア分野等と連携した積極的な情報発信」の項目について

1 第五次計画に記載されている「新聞・テレビ・映画・ゲーム・インターネットメディア・広告等の多様なメディア関係者」には、地方公共団体が含まれているか。

2 「広告やコンテンツ等」には、地方公共団体が発する公的広報が含まれるか。

二 女性がどのような表現を好むかは自由であり、本件タレントのように、露出度が高いファッションを好んだとしても、法に触れない限り、そのことを公的機関がとがめるべきではない。ところが、今回のように、公的広報がある団体の主観によって削除されると、本件タレントや本件社長のように、女性による適法な表現が委縮され、かえって、女性の活躍の場が奪われたり、女性の人権が侵害されたりする可能性がある。政府は、第五次計画に「表現の自由を十分尊重しながら」という文言が挿入された意義及び、「メディアにおける不適切な性・暴力表現を防止する」という文言が削除された意義を、改めて地方公共団体に対し啓発すべきではないか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。