質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一五号

国がお墨付きを与えた西武信用金庫による不正融資に対する金融庁の調査姿勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国がお墨付きを与えた西武信用金庫による不正融資に対する金融庁の調査姿勢に関する質問主意書

 第二百一回国会に私が提出した「国がお墨付きを与えた西武信用金庫による不正融資に対する政府の調査姿勢に関する質問主意書」(第二百一回国会質問第一五〇号)に対する答弁書(内閣参質二〇一第一五〇号)において、「お尋ねの「証拠の残っていた二百五十八物件の詳細状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、金融機関の個別の融資事案の詳細については、当該融資先の正当な利益を害するおそれがあること等から開示を行うことは困難である。なお、金融庁においては、行政処分の内容及び理由について、他の金融機関等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、公表を行っており、御指摘の関東財務局による西武信用金庫に対する行政処分についても、同様の趣旨により公表を行ったものである」との答弁があった。

 不正行為に伴う不適切な融資により「当該融資先の正当な利益」を明らかに害していることからその被害の救済の意思の有無を確認するための質問であったが、政府から明確な答弁を得ることはできなかった。

 また、関東財務局は西武信用金庫に対して業務改善命令を発したものの、西武信用金庫が反復的に行ってきた不正行為に基づく不適切な融資の被害者対応を明らかとしておらず、結果として二〇一九年五月二十四日の業務改善命令発令以降現在まで被害者救済が一切進んでいないという事実が明らかとなった。

 加えて、西武信用金庫に対する業務改善命令によって「西武信用金庫は評価の足りない物件に過剰な担保を設定し不適切な融資を反復的に実行していた」という不正行為が明らかとなった。これは西武信用金庫の不良債権を増長させるものであり背任罪、特別背任罪を問われる行為である。さらに経済的耐用年数を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適正な行為を反復的に実行していたことは詐欺罪や不正競争防止法違反(品質誤認惹起行為)の教唆、共同正犯に問われる行為でもある。刑事訴訟法第二百三十九条第二項によれば「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」となっている。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 行政文書「関財審業第三十三号」により金融庁は二〇一八年十月二十二日時点で既に二百五十八物件において不正の事実の詳細を具体的に把握していたことは明らかである。この二百五十八物件に含まれる被害者と認識している方からの私への報告によると、金融庁に対して情報開示請求を行ったところ、当初はそのほとんどを黒塗りで開示されたとのことであった。機密情報とは認められない既知の事実や一般的な情報をあえて黒塗りで対応してきた理由を明らかにされたい。

二 金融庁が西武信用金庫に対して不正融資の被害者の救済を不問にしている理由を明らかにされたい。

三 金融庁は西武信用金庫の不正の事実を把握しているにもかかわらず刑事責任を不問にしている理由を明らかにされたい。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。