質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五号

堂島取引所コメ先物取引本上場申請不認可に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月四日

室井 邦彦


       参議院議長 山東 昭子 殿



   堂島取引所コメ先物取引本上場申請不認可に関する質問主意書

 大阪堂島商品取引所(社名変更により現在は「堂島取引所」)は令和三年七月十六日にコメ先物取引の本上場認可申請を行った。農林水産省においては、当該認可申請を受け、「取引の状況に照らし、申請者が当該先物取引をする株式会社商品取引所になることが米穀の生産及び流通を円滑にするため必要かつ適当であると確認できない」として、堂島取引所に対し、当業者の参加者数及び利用意向が少ない旨の指摘を行った上で、令和三年七月二十七日、当該認可申請に係る「意見の聴取」を行う旨の通知を発出している。令和三年八月五日に農林水産省において実施された「意見の聴取」では、堂島取引所より、前述の指摘事項に対する意見及び我が国におけるコメ先物取引の重要性について主張がなされた。令和三年八月六日、農林水産省は、試験上場期間における堂島取引所のコメ先物取引の取引状況について、当業者の取引への参加が拡大していない、当業者の利用意向が減少している、取引の九割を新潟県産コシヒカリが占めており価格指標として今後の広がりが期待できないことを理由に挙げ、当該本上場申請が、「生産及び流通を円滑にするため必要かつ適当であること」に該当しないとして、不認可の決定を下した。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 貴金属や原油など他の商品先物取引と比較して、コメの先物取引ほど当業者が参加している先物市場はないものと承知しているが、今回の不認可判断に際しては、どのような比較検証の下、当業者の参加数が少ないとの判断を下したのか、政府の見解を問う。

二 兼業農家が大層を占める日本の農業において、価格に敏感なコメの農業従事者の数は限られており、そもそもコメの先物取引における当業者の参加数の多寡を判断する前提となる母数は、こうした価格に敏感なコメの農業従事者数を基準に判断すべきものと思料する。この点に関し、現在及び将来を含めてこうした価格に敏感な農業従事者の数をどのように見積もっているか、政府の見解を問う。

三 コメ先物取引の試験上場は五期十年にわたり実施されてきたが、この間、コメ先物取引に参加する生産者の数は、一貫して増加しているものと承知している。加えて、市場で実際にポジションを建て、現物価格のヘッジを行うか否かは、時々の相場の状況や個々の農業従事者の毎年の作付け状況、さらには事業状況等により左右されることを踏まえれば、当業者の参加数については、各期ごとの数字のみを切り出して機械的に判断するのではなく、当業者の実際の口座開設数も考慮するなど、当業者の先物取引活用の実情を勘案した上で判断すべきものと思料するが、政府の見解を問う。

四 一般論として、認可判断には裁量権が伴うものと承知しているが、行政の予見可能性を高めるためには、法令上の一義的な文言のみならず、行政運用上、一定のメルクマールを示していくことも、行政の重要な役割であると思料する。これらを踏まえた上で、コメ先物取引には、客観的にどの程度の水準の当業者の参加数があれば、本上場が許容されるのか、政府の見解を問う。

五 当業者の利用者意向が減少しているとの点について、具体的にどのような者を対象にどのような手法を用いて調査を実施したのか、加えて、調査手段の公正性・適切性について、政府の認識及び見解を問う。

  右質問する。