質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第九二号
  令和三年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出放送法における外資規制違反に対する総務省の対応に一貫性がないことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出放送法における外資規制違反に対する総務省の対応に一貫性がないことに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「義務的に適用されるもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第百三条第一項において、総務大臣は、認定基幹放送事業者が同法第九十三条第一項第七号(トを除く。)に掲げる要件に該当しないこととなったとき、又は認定基幹放送事業者が行う地上基幹放送の業務に用いられる基幹放送局の免許がその効力を失ったときは、認定基幹放送事業者に係る認定を取り消さなければならないとされ、また、同法第百六十六条第一項において、同大臣は、認定放送持株会社が同項各号のいずれかに該当するときは、同法第百五十九条第一項に規定する認定放送持株会社に係る認定を取り消さなければならないとされている。

二について

 株式会社東北新社に関するお尋ねについては、令和三年三月二十六日に、総務大臣が、株式会社東北新社メディアサービスを名あて人として、「平成二十九年一月二十四日に株式会社東北新社が放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第九十三条第一項の規定により受けた認定(認定の番号 BS第百二十五号)については、同年十月十三日に貴社が同法第九十八条第二項の規定により認可を受けて認定基幹放送事業者の地位を承継しているところ、令和三年三月九日に株式会社東北新社から総務省に提出された株式分布状況表に記載された同社の議決権の総数に対する外国人等の議決権の割合を総務省において精査したところ・・・同社は認定申請時及び認定時に基幹放送を行おうとする者の認定の欠格事由である認定当時の同法第九十三条第一項第六号ニ(現第七号ニ)の規定(外国人等が議決権の五分の一以上を占めるもの)に該当していたことが確認された。これに関し、平成二十八年十月十七日に同社から提出された超高精細度テレビジョン放送に関する衛星基幹放送の業務認定申請書における「欠格事由の有無」の欄は「無」とされており、当該申請書の記載は事実に反するものであった。以上のとおり、総務省が平成二十九年一月二十四日に行った株式会社東北新社に対する認定については重大な瑕疵があったことから、総務大臣の職権によりこれを取り消す。」と通知したとおりである。

 また、株式会社フジ・メディア・ホールディングスに関するお尋ねについては、同社から総務省に対し、過去において放送法第百六十六条第一項第一号に該当していたが、報告をした平成二十六年十二月時点において同号に該当していなかった旨の報告があったところ、同省において、同項に規定する認定放送持株会社の認定の取消しを行う時に取消事由が必要であり、当該取消事由がないのであれば当該認定の取消しを行うことができないと判断したものである。

三について

 お尋ねの「法の運用や解釈について、法の規定とは違った運用や法の規定から解釈できない運用を政府が行う方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、法令の規定に沿った解釈を行い、適切に運用しているところである。

四について

 お尋ねの「外国資本規制」について、現行の放送法においては、法人又は団体における重要事項の意思決定が議決権の行使を通じて行われていることに鑑みて、議決権の割合に着目した規制を行っているところであるが、総務省においては、今後の規制の在り方について、「情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会」を開催し、検討していくこととしている。