質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第九〇号
  令和三年六月十八日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出外国人技能実習生の妊娠や出産に伴う諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出外国人技能実習生の妊娠や出産に伴う諸課題に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「違法な事例」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、技能実習生(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する技能実習生をいう。以下同じ。)を含む労働者が妊娠等を理由に解雇されたことが疑われる事案について、都道府県労働局に情報提供等があった場合や都道府県労働局が自ら把握した場合には、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第二十九条第一項及び第二項の規定に基づき事業主に対して報告を求めるなどの対応を行っている。また、技能実習生がその意思に反して帰国を促された場合には、出入国港での出国手続の際に入国審査官にその旨を申し出ることができることとしており、技能実習生からの申出に基づき、入国審査官による聴取を行っている。

二について

 外国人技能実習機構(以下「機構」という。)は、法第八十七条第三号の規定により、「技能実習を行うことが困難となった技能実習生であって引き続き技能実習を行うことを希望するものが技能実習を行うことができるよう、技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うとともに、実習実施者、監理団体その他関係者に対する必要な指導及び助言を行う」とされており、お尋ねの「実習中断の際の実習生の意思確認」については、機構において、法第十九条第一項又は第三十三条第一項の規定に基づき実習実施者(法第二条第六項に規定する実習実施者をいう。以下同じ。)又は監理団体(法第二条第十項に規定する監理団体をいう。以下同じ。)が機構に対して行った技能実習の実施が困難となった場合の届出(我が国に入国しておらず技能実習の開始前であることが明らかなものを除く。)のうち、その届出内容から、技能実習生の帰国についての意思が疑われる場合には、実習実施者又は監理団体に届出内容等について確認するとともに、必要に応じて、技能実習生にその意思を確認することとしているところである。

三及び四について

 お尋ねの「周知は十分行われている」の意味するところが明らかではないが、出入国在留管理庁、厚生労働省及び機構において、技能実習生が妊娠した場合における法的保護、支援制度、相談先等を記載したリーフレットを複数の言語により作成するとともに、機構のホームページにおいて当該リーフレットを掲載するなどにより、周知を図っているほか、機構において、母国語による相談対応を実施しているところであり、政府としては、こうした取組を進めることが重要であると考えている。

五について

 お尋ねの「支援」及び「必要な費用」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば、十四回分の妊婦健康診査について地方交付税措置を講じているところであり、妊娠した技能実習生も公費による支援を受け、定期的に受診することが可能であるほか、健康保険法(大正十一年法律第七十号)等に基づく出産育児一時金の支給要件を満たす場合には、その給付を受けることが可能である。

六について

 お尋ねの「過去の通報件数」については、令和三年六月八日現在、技能実習制度に関する二国間の協力覚書(以下「覚書」という。)に基づき、八十の送出機関(法第二十三条第二項第六号に規定する外国の送出機関をいう。)による不適切な事例を把握し、相手国政府に通報している。政府としては、相手国政府において覚書に基づく調査や指導等の必要な措置が行われているものと承知している。