質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第八八号
  令和三年六月十八日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出不耕作農地を始めとする土地利用の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出不耕作農地を始めとする土地利用の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「荒蕪地の推移と傾向」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林水産省が毎年取りまとめている「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査結果等」においては、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)の面積については、令和元年は約二十八万四千ヘクタールとなっており、平成二十年の本件調査開始以降、約二十七万二千ヘクタールから約二十九万二千ヘクタールの間でおおむね横ばいで推移しているところである。

 また、お尋ねの「都市部における傾向」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林業センサスにおける都市的地域(可住地に占める人口集中地区面積が五パーセント以上で、一平方キロメートル当たりの人口密度五百人以上又は人口集中地区人口二万人以上の市区町村及び旧市区町村等をいう。)の荒廃農地の面積については、令和元年は約七万七千ヘクタールとなっており、平成二十五年から令和元年までの間において、約七万二千ヘクタールから約八万ヘクタールの間でおおむね横ばいで推移しているところである。

二及び三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、都市農業は、食料生産を始め、身近な農業体験やレクリエーション・交流の場の提供、災害時の防災空間の確保等、多様な機能を発揮していると考えており、その営農の継続が困難となった農地が荒廃するなどした場合には、周辺の生活環境へ悪影響を及ぼすこと等が懸念されることから、農地の有効活用及び適正保全が重要であると考えている。

 このため、都市農業振興基本法(平成二十七年法律第十四号)第九条第一項の規定に基づき定めた都市農業振興基本計画(平成二十八年五月十三日閣議決定)において、「市街化区域内農地の位置付けを「宅地化すべき農地」から、都市環境を形成する上で「あるべき農地」へと大きく転換すること」を「施策の基本方向」とすることとし、平成二十九年の生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)の改正により市街化区域内農地の適正な保全を図るため、生産緑地地区の指定について面積要件を条例で緩和できることとするとともに、都市農地の貸借の円滑化に関する法律(平成三十年法律第六十八号)により生産緑地地区内の農地について、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第十七条第一項の規定に基づく賃貸借の法定更新が適用されずに意欲ある都市農業者等に円滑に貸借できるようにするなどの支援を行ってきているところであり、今後も都市農地の有効活用及び適正保全を図ってまいりたい。