質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第八七号
  令和三年六月十八日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出東京オリンピック・パラリンピックの観客にPCR検査などの陰性証明書の提示を求めることを政府が検討中との報道に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出東京オリンピック・パラリンピックの観客にPCR検査などの陰性証明書の提示を求めることを政府が検討中との報道に関する質問に対する答弁書

一、二、五の1から3まで及び六について

 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会における観客については、令和三年四月二十八日(日本時間)に開催された国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、東京都及び政府による五者協議において、「観客上限については、海外からの観戦を認めないとの大きな事情変更がある中で、変異株による国内感染の状況も踏まえ、観客数に係る判断は六月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じることを基本に行うこと」で合意したところである。その上で、「東京オリンピック・パラリンピックの観客に新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査などの陰性証明書の提示を求めることを検討しているか」とのお尋ねについては、同年六月一日の記者会見において、丸川国務大臣が「今、具体的な方策として、この方法を考えているということではありませんし、何ら決定しているという事実もありません。」と述べているとおりである。

三について

 御指摘の「偽陰性率」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、「「新型コロナウイルス感染症(COVID―十九)診療の手引き・第五版」の周知について」(令和三年五月二十六日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の参考二「新型コロナウイルス感染症(COVID―十九)診療の手引き・第五版」において示しているとおり、「潜伏期は一~十四日間であり、曝露から五日程度で発症することが多い」こと及び「感染可能期間は発症二日前から発症後七~十日間程度と考えられている」ことを踏まえると、新型コロナウイルス感染症に係る検査の結果、「新型コロナウイルスに暴露してから一~二日後に」陽性であることが判明しない場合があるものと考えられる。

四について

 御指摘の「偽陰性割合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、新型コロナウイルス感染症に感染した者が、同感染症に係る検査において陰性であるとされる割合については、検査実施の時期や検体採取量等の様々な要因により一義的に定まらないと考えられるため、算出することが困難であると考えており、お尋ねのような「検査方法」の有無について、お答えすることは困難である。

五の4について

 お尋ねについては、厚生労働省のホームページの「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」(令和三年六月二日時点版)において、「PCR検査は、医師が診療のために必要と判断した場合、又は、公衆衛生上の観点から自治体が必要と判断した場合に実施しています。そのため、医師や自治体にPCR検査が必要と判断されていない労働者について、事業者等からの依頼により、各種証明がされることはありません。また、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、職場等に、陰性証明を提出する必要はありません。」及び「PCR検査では、検体採取の際の手技が適切でない場合や、検体を採取する時期により、対象者のウイルス量が検出限界以下となり、最初の検査で陰性になった者が、その後陽性になる可能性もあり得ます。」と示しているところであり、また、「「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等における精度管理マニュアル」について(周知)」(令和三年四月十六日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の別添「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等における精度管理マニュアル」において、「偽陰性」の「考えられる要因」については、「不適切な時期、不適切な検体採取(技術、量、品質)、不適切な時期・検体種、増幅阻害因子の存在、ウイルスの熱不活化のプロトコール」であると示しているところであり、引き続き、これらを適切に周知してまいりたい。