質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第四〇号
  令和三年四月六日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出東日本大震災の被災地における金融支援の継続・強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出東日本大震災の被災地における金融支援の継続・強化に関する質問に対する答弁書

一について

 東日本大震災の被災者が復興に向けて再スタートを切るに当たり、既往債務が負担になって新規資金調達が困難となる等の問題に関して、可能な限りの対策を講じてきたところであり、今後も令和三年三月九日に閣議決定した「第二期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針」(以下「基本方針」という。)を踏まえて、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構及び産業復興機構(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成二十三年法律第百十三号)第五十九条第一項に規定する産業復興機構をいう。)等において第一期復興・創生期間の終了までに支援決定した事業者の再生支援等に取り組んでまいりたい。

 また、御指摘の「残された課題に対応する企業や個人への金融面での支援」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては基本方針に定めるところにより、引き続き、現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、東日本大震災の被災地の復興に向けて総力を挙げて取り組んでまいりたい。

二について

 東日本大震災への対応として、平成二十三年六月十七日に開催された二重債務問題に関する関係閣僚会合で取りまとめられた「二重債務問題への対応方針」等に基づき、例えば、事業者に対し、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による債権買取り等の再生支援や株式会社日本政策金融公庫等による「東日本大震災復興特別貸付」に取り組んできたところである。また、個人に対し、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を活用した債務整理支援や独立行政法人住宅金融支援機構による「災害復興住宅融資」に取り組んできたところである。

 こうした取組の実績としては、令和二年十二月末時点において、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構における支援決定件数が七百四十四件、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を活用した債務整理の成立件数が千三百七十三件となっており、政府として可能な限りの対策を講じてきたものと考えている。

 このような東日本大震災への対応を踏まえ、その後の自然災害における被災者支援においても、例えば、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合による債権買取り等の再生支援、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を活用した債務整理支援、株式会社日本政策金融公庫等及び独立行政法人住宅金融支援機構による低利融資等に取り組んできたところである。

 今後の自然災害への対応に当たっては、御指摘のような「二重債務問題に恒久的に対応できる制度」を必ずしも前提とするのではなく、被災地のニーズや地域ごとの特性等に応じた適時適切な支援策を講じていくことが重要であると考えている。

三について

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律(平成十六年法律第百二十八号)附則第八条から第十一条までの規定に基づき資本の増強を実施している十一金融機関については、令和二年三月末の自己資本比率は約十一・一パーセントとなっており、資本基盤は総じて充実した状況にあるところ、これらの金融機関においては、当該各条の規定に基づく資本の増強の実施から令和二年五月末までの間に、被災した事業者向けの新規融資を約一・五兆円実施しているほか、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構を活用した事業者の再生支援等に取り組んでおり、同法に基づく資本の増強は東日本大震災の被災地における金融の円滑化や事業者への支援等に寄与してきたものと考えている。

 引き続き、これらの金融機関においては、同法に基づき、被災地における金融の円滑化や事業者への支援等を通じて、地域経済の活性化に取り組む必要があると考えている。