質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第七号
  令和三年二月二日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十一条の都道府県知事の医療関係者への要請等の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十一条の都道府県知事の医療関係者への要請等の解釈に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」(平成二十五年六月二十六日新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議決定。以下「ガイドライン」という。)における「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」場合とは、「当該地域における医療体制の確保が困難となり当該地域に所在する医療機関において医療体制を構築する際に、そのための医療関係者を確保できない場合」の例示である。

三から五までについて

 お尋ねについては、これまでに、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号。以下「特措法」という。)第三十一条に関する問合せを受けたことはあり、当該問合せに対しては、令和三年一月二十一日の衆議院本会議において、菅内閣総理大臣が「この規定により、都道府県知事は医療関係者に対する要請や指示が可能ですが、病原性が非常に高い場合など、極めて緊急性の高い状況が想定をされております。現時点では、まずは、感染症法第十六条の二など、その他の規定を活用しつつ、協力要請を行っていただきたいと考えております」と答弁した内容と同じ趣旨及び内容の説明を行っている。
 このため、「政府はこの間、誤った当該ガイドラインの解釈により・・・誤った法解釈を伝えていたところ、・・・何故に即刻に各都道府県に当該第三十一条の正しい解釈・・・を伝えないのか。こうした政府の姿勢は、・・・人命軽視も甚だしいのではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。

六について

 御指摘の答弁は、特措法第三十一条の改正を検討すべきではないかとの質問に対して、見解を述べたものである。

七について

 お尋ねの「現在の状況」とは令和二年十二月の大阪府における医療提供体制の状況を、「想定されている状況」とはガイドラインにおいて特措法第三十一条に基づく要請等を検討すべき場面として想定されている状況を、それぞれ指している。

八及び十一について

 「当該第三十一条に係るこの答弁と前記六の西村大臣の答弁の解釈は同じものなのか」とのお尋ねについては、菅内閣総理大臣と西村内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の答弁において、特措法第三十一条の解釈に異なるところはない。
 また、「新型コロナウイルスはこの要件に該当するのか」、「「極めて緊急性の高い状況」に現下の緊急事態宣言下の状況は該当するのか」及び「現下の緊急事態宣言下において、都道府県知事は新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十一条に定める都道府県知事の医療関係者への要請及び指示の権限を行使することが当該条文の解釈上不可能であると考えているのか」とのお尋ねについては、令和三年一月二十一日の衆議院本会議において、菅内閣総理大臣が「この規定により、都道府県知事は医療関係者に対する要請や指示が可能ですが、病原性が非常に高い場合など、極めて緊急性の高い状況が想定をされております。現時点では、まずは、感染症法第十六条の二など、その他の規定を活用しつつ、協力要請を行っていただきたいと考えております」と答弁したとおりである。

九について

 特措法第三十一条については、これまでお答えしているとおりであり、「法令の運用解釈を空前の失政により誤り、そのことによって国民国家の重大事態の対処を誤った失政を誤魔化すため、国民の生命を犠牲にして各都道府県知事に当該第三十一条の正しい解釈を伝えないというのは、万死に値する暴挙ではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。

十について

 「なぜ、政府は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の第十六条の二を改正し都道府県知事の勧告及び公表の権限を設けようとしているのか」とのお尋ねについては、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときに、国民の生命及び健康を守ることに万全を期すためである。また、「両規定における知事の権限やその効果」については、特措法第三十一条及び現在国会で審議中の新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案第二条の規定による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第十六条の二に規定するとおりである。また、「両規定の政策目的」については、特措法第三十一条については、新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることにあり、感染症法第十六条の二については、「なぜ、政府は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の第十六条の二を改正し都道府県知事の勧告及び公表の権限を設けようとしているのか」とのお尋ねについてお答えしたとおりである。