質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一一九号

政策金融改革の評価と株式会社日本政策投資銀行等の完全民営化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   政策金融改革の評価と株式会社日本政策投資銀行等の完全民営化に関する質問主意書

 政策金融改革は、小泉内閣における行政改革の一環として打ち出され、二〇〇八年十月から実施された。ところが、時を同じくしてリーマン・ショックによる危機が顕在化し、その後の東日本大震災などの度重なる自然災害も含めて、政策金融機関の役割はむしろ強化されているという印象がある。今般の新型コロナウイルス感染症等への対応においても、株式会社日本政策金融公庫の無利子・無担保融資、株式会社日本政策投資銀行(以下「政投銀」という。)や株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)による危機対応業務などを通じて、事業や生活の維持に向けた積極的な支援が期待されている。

 政投銀と商工中金を最終的に完全民営化する方針は、現在でも維持されている。しかし、リーマン・ショックや東日本大震災等の発生を契機に、完全民営化の時期は複数回にわたり延期され、二〇一五年には、当分の間危機対応業務を行う責務を有することとされるとともに、完全民営化の時期は「できる限り早期に」とされるに至った。一方で、民間金融機関の参入を前提として制度設計された危機対応業務については、みなし指定された政投銀と商工中金のみが行っており、その他の金融機関が指定される動きは現在のところ明らかではない。

 そこで、以下質問する。

一 政策金融改革は、民間でできることは民間に委ねるとの観点から、政策金融機関が担っている機能を抜本的に見直すことを目指していたと承知している。今日の状況は、小泉内閣で打ち出した当初の構想からは大きく変化しているように見えるが、これまでの危機時における政策金融機関の対応を含めて、政策金融改革の成果をどのように評価しているか、政府の見解を伺う。

二 政投銀と商工中金は、危機対応業務の責務を負う間の政府による株式保有義務があるため、現状では完全民営化を行うことができない。政府は、現行法で「できる限り早期に」とされている完全民営化の時期の具体的な見通しを持っているか、見解を伺う。

  右質問する。