質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第九七号

デジタル庁の中途採用職員におけるリボルビングドアの仕組みに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十一日

熊谷 裕人


       参議院議長 山東 昭子 殿



   デジタル庁の中途採用職員におけるリボルビングドアの仕組みに関する質問主意書

 令和二年十一月十七日の参議院内閣委員会において、平井大臣はデジタル人材に関し、「リボルビングドアの仕組みも構築したいと考えておりまして、これにより、デジタル庁で職務経験を積んだデジタル人材がその経験を生かして民間企業においてもデジタル化を推進する人材として活躍できるようにしていきたい」と発言している。

 他方、デジタル庁は「国の行政機関が行う情報システムの整備及び管理に関する行政各部の事業を統括し及び監理すること」と示されており、デジタル庁が国の行政機関が行う情報システムの整備及び管理について統括及び監理するため、その職員は調達に係る情報等についても事前に把握することが可能であろう。

 したがって、民間企業にとってデジタル庁に社員を派遣することは、デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部における政府情報システムの動向を知る契機で、競合する他社より優位な立場を取り得る。

 デジタル人材のリボルビングドアについては、平井大臣の発言のように、その意義を否定するものではないものの、その仕組みには公正さが求められ、政府の考え方を確認しておく必要がある。

 このような観点から、以下質問する。

一 デジタル庁の民間採用職員は、その任期満了後の勤務先において、以下の1から5までのケースにおいてどのような入札制限が課されるのか、政府の見解如何。

1 任期満了後、デジタル庁採用前の企業に再度天下りした場合、当該企業はデジタル庁及び国の行政機関が行う情報システム整備及び管理に関して入札制限の対象となるか。

2 任期満了後、デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と契約関係にある企業に天下りした場合、当該企業はデジタル庁及び国の行政機関が行う情報システム整備及び管理に関して入札制限の対象となるか。

3 任期満了後、デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と契約関係にある企業と資本関係にある企業に天下りした場合、デジタル庁と契約関係にある企業と資本関係にある企業はデジタル庁及び国の行政機関が行う情報システム整備及び管理に関して入札制限の対象となるか。

4 任期満了後、デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と契約関係にある企業と実質的支配関係にある企業に天下りした場合、デジタル庁と契約関係にある企業と実質的支配関係にある企業はデジタル庁及び国の行政機関が行う情報システム整備及び管理に関して入札制限の対象となるか。

5 任期満了後、デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と契約関係にない企業に天下りした場合、当該企業はデジタル庁及び国の行政機関が行う情報システム整備及び管理に関して入札制限の対象となるか。

二 前記一に関連して、デジタル庁に民間から採用される職員について、入札制限に関する教育はなされているのか。教育の内容と実績は如何。

三 平井大臣のいうところのデジタル庁で職務経験を積んだデジタル人材による民間での活躍と、国家公務員法第百六条の二でいう「職員は、営利企業等に対し、他の職員若しくは行政執行法人の役員をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを目的として、当該役職員若しくは役職員であつた者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該役職員をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならない」又は同法第百六条の三でいう「職員は、利害関係企業等に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない」について、以下の1から3までのケースにおいてどのような制限が課されるのか、あるいは制限は何らなされないのか。政府の見解如何。

1 民間採用職員の採用前所属企業、デジタル庁へ民間人材を派遣している親元企業への復帰交渉

2 デジタル庁職員によるデジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と利害関係を有する企業への就職の働きかけ

3 デジタル庁及びデジタル庁が統括及び監理する行政各部と利害関係を有する企業からのあっせん依頼

四 前記三に関連して、雇用の流動化や社会におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の必要性を鑑みれば、リボルビングドアに係る検討は有益であると考えるが、令和二年十一月十七日の参議院内閣委員会におけるリボルビングドアに関する平井大臣の発言から半年以上が経過し、デジタル庁創設までわずかとなっている中で、かかるリボルビングドアに係る検討はどこまで進んでいるのか。進捗状況と制度上の課題について示されたい。

  右質問する。