質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第九五号

栄典制度の受章基準に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   栄典制度の受章基準に関する質問主意書

 国や公共のために功労のあった方、社会の各分野において優れた行いのあった方などに対し、国としてその功績や業績を表彰するために、我が国においても「栄典制度」が設けられている。そして、その栄誉のしるしとして勲章や褒章が授与される勲章・褒章制度がある。

 栄典制度として、明治八年に勲章制度が、同十四年に褒章制度が創設され、毎年春と秋に勲章及び褒章が授与されている。

 この栄典制度の運用について以下質問する。

一 近年における勲章及び褒章受章者の傾向(割合比)を、以下の各項目について示されたい。

1 勲章及び褒章受章者の男女比

2 公務経験者とそれ以外の比率

3 町内会役員や行政委嘱委員等の自治功労者の人数の推移

4 通常推薦と、国民から賞勲局への直接推薦を契機とする「一般推薦」の比率

二 以前から指摘のあった勲章及び褒章受章者の官民格差や男女格差、受章分野の偏りは解消したと政府は認識しているか。

三 歴史的・国際的に見て、栄典制度は、その国家が潜在的に重視する価値の一端を示しているともいわれる。今日、そうした国家の価値基準は国民の支持なしには存続し得ない以上、勲章・褒章制度の安定的な運用のためには、その必要性、妥当性を広く国民に伝えていくことが求められると考えるが、政府の認識を伺う。

四 目立たず、人目に付きにくい功労者や、経済的な見返りも、高い地位や名誉も受けずに公共のために大きな貢献をしている方に対し、国家としての感謝を捧げることができれば、栄典制度も有益に機能していると考えるが、そうした方々を表彰できているといえるのか疑問が残る。このように目立たないが公共への貢献度の高い方々の受章比率を上げていく必要性についての政府の認識を伺う。

五 前記四に関して、目立たないが公共への貢献度の高い方々の受章比率を上げていく必要性があるという認識を前提として、地域社会を支えている自治会・町内会役員や青少年指導員、スポーツ推進委員等の行政委嘱委員、そして、社会福祉関係者、里親や児童養護施設職員等の社会養護に従事する人、NPO・NGO関係者、海外も含めた人道援助の貢献者等の受章比率をより上げるべきと考えるが、政府の認識を伺う。

六 叙勲は、生涯にわたる国家や社会に対する功績を総合的に評価して行われるものであることから、受章年齢については、生涯における功績がある程度固まった時期をとらえて表彰するという考え方に基づき運用されていると承知している。このような考え方から、現在、春秋叙勲においては、原則として七十歳以上の者が対象とされている。しかし、七十歳未満であっても表彰の必要性が高いケースもあり得るため、この年齢要件に関しては、より柔軟に運用することも検討すべきと考えるが、政府の認識を伺う。

  右質問する。