質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第九三号

個人事業主(フリーランス)の公平な税負担に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   個人事業主(フリーランス)の公平な税負担に関する質問主意書

 昨今の働き方改革の進行や政府の勧奨もあり、個人事業主(フリーランス)が今後益々増加することが見込まれる。ある民間の調査によると、二〇一八年のフリーランスの人口は、当時の日本の労働人口の約十六%にあたる千百十九万人とされている。副業で仕事をする人も含めると、今後もフリーランスは増えていくと予測されるが、社会保障の仕組みは雇われて働くことをベースに作られていて、個人事業主のセーフティーネットは弱い。また、税負担等でも支える仕組みが追いついていないとの指摘もなされている。

 以上を踏まえて、以下のとおり質問する。

一 給与所得者(いわゆるサラリーマン。以下同じ。)が、同じ程度の報酬の個人事業主(フリーランス)へ、いわゆる脱サラをした場合、給与所得者だったときと比べ、税金や公的保険料の負担額の平均は、どのように変化するか示されたい。

二 個人事業主は、業務に必要な設備・備品を自己負担で準備しなければならない。このことも踏まえ、備品等の取得価額が二十万円未満であるものについては、三年間にわたり償却して経費に算入することが可能とされている(一括償却資産)。また、現在青色申告をしている人は十万円以上三十万円未満の資産を少額減価償却資産として、全額経費計上が可能となっている。近時、インターネット上のプラットフォーム経由で働くギグワーカーなどが増加しており、パソコンを使っての業務等の場合、高機能なパソコン、周辺機器、ソフトウェアなど、多額の支出が必要となるケースも多くなっている。現在の償却の限度額は、そのような状況に必ずしも対応できているとはいえない。

 個人事業主の設備・備品が高機能化することは、個人事業主の生産性を上げることにもつながり、個人消費の増加にもつながる側面があるため、償却の限度額を引き上げる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 個人事業主が所得税の確定申告を青色申告で行う一番の利点は、青色申告特別控除である。青色申告特別控除とは、事業による売り上げから必要経費を差引き、さらに最大六十五万円の控除が受けられ、正規の簿記の原則に従って記帳し、申告書に貸借対照表と損益計算書を添付すると、青色申告特別控除は五十五万円、さらにe―Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿の保存により、十万円の控除が加算される仕組みである。これに対し、簡易帳簿での記帳の場合の控除額は六十五万円ではなく、十万円に過ぎない。

1 確定申告を行う個人事業主のうち、この青色申告特別控除の手続条件を満たすことができる割合は、どの程度であると見積もっているか。

2 青色申告特別控除による個人事業主に対する減税効果はどの程度か。収入ごとにその平均額を示されたい。

四 フリーランスの増加など、働き方の多様化が進む中、働き方の違いによって不利益が生じない公平な税制を構築すべく、不断の検討を行うべきと考えるが、政府の見解は如何か。

五 青色申告を行う個人事業主に対し、給与所得者の給与所得控除に相当する所得控除の適用を所得税法上認めることは、課税のあり方を公平にすることができるのではとの意見がある。今後の就業構造の変化も見据え、少なくとも検討はすべきではないかと考えるが、政府の見解は如何か。

  右質問する。