質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第九二号

放送法における外資規制違反に対する総務省の対応に一貫性がないことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   放送法における外資規制違反に対する総務省の対応に一貫性がないことに関する質問主意書

 放送法における外国資本規制は、日本の政府や地方自治体等の行政の施策等を、放送を通じて監視するという国民の知る権利を守るためにあると思料する。あわせて、国家の権力に対する監視機能や大規模災害時などの有事における国民の安全保障に関する情報提供等に放送事業者が関わることから放送法における外国資本規制があると思料する。

 二〇一七年一月に東北新社に認めた放送事業認可が放送法に規定する外国資本の議決権比率二十%の制限を超える状況であった為に、二〇一七年十月に東北新社の子会社に当該放送事業認可を承継させることでこれを解消していた。これらの経緯から総務省は二〇二一年五月一日付けで東北新社に認めた放送事業認可を基幹放送事業者に対する放送法第百三条の規定によって取り消した。

 二〇一二年から二〇一四年の二年間に渡りフジメディアホールディングスにおいても外国資本が二十%を超えていることが発覚した。総務省は二〇二一年の現段階では外国資本規制を超える状態が既に解消されているということから認定持株会社に対する放送法第百六十六条の規定による放送事業認可の取消しには及ばないという判断を下した。

 放送法で規定する基幹放送事業者に対する条項である第百三条においても、認定持株会社に対する第百六十六条においても、外国資本を制限する条項は同一の内容であるにもかかわらず、東北新社とフジメディアホールディングスとの処分の内容に違いが生じていることを受けて、以下質問する。

一 放送法第百三条および放送法第百六十六条おいて規定する認定の取消しは、当該条項に該当する場合においては解釈の違いが生じる余地はなく、義務的に適用されるものと解釈するが、政府の見解を伺う。

二 東北新社に対する処分とフジメディアホールディングスに対する処分が相違することに対する政府の判断基準を明らかにされたい。

三 法の規定とは違った運用や法の規定から解釈できない運用を政府や担当大臣や行政が行うようになるとそれは法治国家の体を為していないことになるではないかと危惧する。法の運用や解釈について、法の規定とは違った運用や法の規定から解釈できない運用を政府が行う方針があるのかないのか、政府の見解を伺う。

四 外国資本規制に関し、議決権の有無に関わりなく一律の持株比率の外国資本による上限を二十%と規制するべきではないか。こうすれば外国資本の状況の管理が放送事業者にとっても総務省にとっても管理や監督することが容易になると思料するが、政府の見解を伺う。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。