質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第九〇号

外国人技能実習生の妊娠や出産に伴う諸課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月八日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   外国人技能実習生の妊娠や出産に伴う諸課題に関する質問主意書

 外国人技能実習生(以下「実習生」という。)の妊娠や出産で実習継続が困難となったとする受入先企業などからの届出が、実習生に対する人権侵害に罰則を設けた外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)が施行された二〇一七年十一月から二〇二〇年十二月までの約三年間で六百三十七件に上ることが、私が二〇二一年三月十二日に提出した質問主意書「外国人技能実習制度をめぐる各種のトラブルに関する質問主意書」(第二百四回国会質問第三四号。以下「質問第三四号」という。)を契機にした厚生労働省の調査で判明した。この種の統計がまとめられたのは初めてであり、そのことは率直に評価したい。

 ただ、実習生の女性が妊娠を理由に解雇や帰国を迫られたケースやそれを恐れた外国人技能実習生が出産した乳児を遺棄するケースが相次いで発覚しており、この六百三十七件には違法な事例が含まれている可能性がある。

一 厚生労働省は、この六百三十七件に違法な事例が含まれていた場合には調査して指導するとしている。違法な事例が含まれているか否かは、どのように事実確認を行うのか。

二 実習生の受入先企業や監理団体は、実習継続が困難だと判断した場合、監督機関である外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時届出書」を提出すれば、実習の中断が可能となる。この実習実施困難時の届出には実習生本人の「帰国意思確認書」が添付されることになっている。しかし、外国人技能実習機構が実習生の意思を直接確認する制度になっていない。

 現状の問題の多発を受け、実習中断の際の実習生の意思確認は、外国人技能実習機構が直接行うことを検討すべきではないか。

三 実習生による乳児遺棄等の背景には、実習生の妊娠に対しても法の保護があることが、実習生に周知されていないことがあると考える。政府は、この周知について、どのような取組を行っているか。また、それらの取組により、周知は十分行われていると評価しているか。

四 技能実習に関し現状生じている様々な課題を解決するには、外国人技能実習機構や公の機関と実習生との関与を密にする必要があり、それぞれの母語での情報提供や相談体制の整備を行うのが効果的と考えるが、政府の見解を伺う。

五 実習生が妊娠し母国に帰国せず技能実習を一時中断した場合、費用の問題も生じてくる。実習生が日本国内で出産する際、どのような支援を受けることが可能であり、必要な費用を誰がどのように負担すると政府は想定しているのか示されたい。

六 質問第三四号に対する答弁書の「四について」によると、問題のある送出機関については、相手国政府に対し、その旨を通報し、相手国における当該送出機関に対する調査や指導を求めているとしているが、過去の通報件数と、その通報がどのように扱われたのか、詳細に示されたい。

  右質問する。