質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第七八号

障害特性によりマスク着用が困難な方々の新型コロナワクチン接種順位の再検討に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月一日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   障害特性によりマスク着用が困難な方々の新型コロナワクチン接種順位の再検討に関する質問主意書

 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(第二・二版)」(以下「手引き」という。)九ページ以下によれば、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種順位三位に「基礎疾患を有する者」が挙げられており、その中には「重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合)」の状態の方が含まれている。

 一方、厚生労働省のホームページ「マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について」にあるとおり、発達障害者の方々には、障害特性によりマスクの着用が困難な方々(以下「マスク着用困難者」という。)が多数いるが、その中には、二年ごとの更新期限を失念する、そもそも申請していない等の理由で精神障害者保健福祉手帳を所持していない方も多いと思われる。

 マスクの新型コロナウイルス感染症予防効果は、当初「他人にうつさないためであり、自分が他人にうつされないことを期待する予防効果は低い」とされていたが、スーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーションによれば、不織布マスクは吸い込み飛沫量を七十パーセント程度削減できることが示されている。言い換えれば、マスク着用困難者は、健常者より新型コロナウイルス感染症にり患するリスクが高いと考えられる。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 六十歳未満のマスク着用困難者は、精神障害者保健福祉手帳を所持していない場合、手引き九ページ以下の接種順位四位である「上記以外の者」に該当してしまう。前述の事実にかんがみれば、マスク着用困難者は、精神障害者保健福祉手帳を所持しているかどうかにかかわらず、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種順位を上げるべきであり、実際に精神障害者保健福祉手帳を所持していない者がマスク着用困難者であるかどうかは、医師の診断書があれば足りるものと思慮するが、政府の見解如何。

二 地方自治体が、独自に、精神障害者保健福祉手帳を所持していないマスク着用困難者の新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種順位を上げることは差し支えないか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。