質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第七七号

余剰が見込まれる政府確保の新型コロナワクチンを台湾へ提供することの提案等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月一日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   余剰が見込まれる政府確保の新型コロナワクチンを台湾へ提供することの提案等に関する質問主意書

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、令和三年五月二十日、アストラゼネカ社製の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン「バキスゼブリア筋注」(以下「AZ社製ワクチン」という。)を接種した際ごくまれに発生する血栓症について、適正な診断・処置ができればコントロール可能なリスクと確認し、総合的にAZ社製ワクチンの有効性と安全性を評価し、承認して差し支えない旨の結論に至った。これを受け、厚生労働大臣は、令和三年五月二十一日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条の三に基づき、AZ社製ワクチンを、その効能をSARS―CoV―二による感染症の予防として特例承認した。

 政府は、AZ社製ワクチンを確保しているものの、ファイザー社製の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン「コミナティ筋注」を約一億九千四百万回分、モデルナ社製の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン「COVID―十九ワクチンモデルナ筋注」を五千万回分確保できる見通しであり、AZ社製ワクチンが余る公算である。それもあってか、政府は、AZ社製ワクチンの国内接種を当面見送ることを決めたが、AZ社製ワクチンの保存期限は六か月であり、速やかに使用用途を決めなければせっかく確保したAZ社製ワクチンが保存期限を迎え廃棄されることとなる。貴重なAZ社製ワクチンの有効活用方法を速やかに検討しなければならない。

 一方、台湾は新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に苦戦している。具体的には、蔡英文総統が、令和三年五月二十六日の記者会見で、中国の介入でコミナティ筋注の購入契約ができていないと述べた。また、ロイター通信の報道によれば、令和三年五月二十五日現在、接種可能な新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの在庫が底をついたという報道があった。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 政府は、AZ社製ワクチンについて海外への輸出も検討していると報道されているが、これは事実か。事実であれば、「海外」には台湾が含まれているか。

二 政府は、台湾が新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に苦戦していることを承知しているか。また、令和三年五月二十五日現在、台湾には接種可能な新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの在庫がほぼないことを承知しているか。

三 現時点で、台湾から日本に対し新型コロナウイルス感染症に係るワクチンを供給するよう要請があったか。もし要請がないとしたら、政府は、東日本大震災発災の際に台湾から義援金約二百五十億円をはじめとした多大な支援を受けた恩があるのであるから、台湾に対し、政府が確保したAZ社製ワクチンが必要かどうか能動的に聞くべきではないか。

  右質問する。