質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇号

「幼児教育・保育の無償化」、「高校無償化」、コロナ禍における「学生支援緊急給付金」に関する国籍・民族に対する差別に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十一月十七日

徳永 エリ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   「幼児教育・保育の無償化」、「高校無償化」、コロナ禍における「学生支援緊急給付金」に関する国籍・民族に対する差別に関する質問主意書

一 政府は、「子ども・子育て支援法」の改正に基づき、昨年の十月一日から「幼児教育・保育の無償化」を実施しています。
 「幼児教育・保育の無償化」は、「全ての子供が健やかに成長するように支援するもの」であり、その財源には、我が国で暮らす、日本人も外国人も、すべての人が負担する消費税を八%から十%へ引き上げた分が当てられています。また、税負担の公平性や待機児童解消のためとして無償化の対象は認可外保育施設にまで拡大されています。
 しかし、各種学校の認可を受けている幼児教育・保育施設は「児童福祉法上、認可外保育施設には該当しない」との理由で除外されました。そのことにより、朝鮮学校の四十一箇所をはじめ、インターナショナルスクール、ブラジル人学校など全国八十九箇所、その全てが外国人学校の施設で、無償化の対象から除外されました。なぜ、消費税を納めているにもかかわらず、各種学校の外国人学校幼児教育・保育施設だけが無償化から外されるのか、理解できません。
 各種学校の外国人学校幼児教育・保育施設を「幼児教育・保育無償化」の対象にするべきと考えますが、政府の見解をお示しください。

二 朝鮮高校は、「高校無償化」制度からも除外されています。これは、「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とする日本国憲法や「いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」とした子どもの権利条約などの国際法及び子どもの権利委員会などから出ている、朝鮮高校に対する差別是正の勧告にも反する不当な措置と言わざるを得ません。
 朝鮮高校を「高校無償化」制度の対象にするべきと考えますが、政府の見解をお示しください。

三 政府は、コロナ禍において、生活に困窮し学業の継続が危ぶまれる学生に対し、「学生支援緊急給付金」制度を設け、「成績優秀者」という要件はあるものの、外国人留学生をこの制度の対象としました。しかし、政府は、朝鮮大学校の学生たちをこの制度からも除外しました。
 新型コロナウイルスの感染拡大には、収束が見えません。アルバイトもできず、学生の生活はさらに困窮しかねません。鬱症状を訴える人や自殺者も増加しています。今後、感染がまた拡大すれば、再び、学生への支援も検討しなければなりません。コロナ禍で多くの人が苦しい生活を余儀なくされている中で、「幼児教育・保育の無償化」、「高校無償化」の対象を拡大することは不可欠です。また、安倍総理(当時)は、朝鮮大学校は各種学校であり、これまでの制度と同様の扱いをした旨を述べていますが、「学生支援緊急給付金」など、今後、再び、支援制度を設ける場合には、国籍、民族に関係なく、日本人も外国人も差別なく、命を守り、希望ある未来に繋がるように、支援の対象としていただくよう検討いただきたいと考えますが、政府の見解をお示しください。

  右質問する。