質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一六一号
  令和二年六月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員宮沢由佳君提出食料の安定供給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員宮沢由佳君提出食料の安定供給に関する質問に対する答弁書

一について

 海外から輸入される原種鶏及び種鶏(以下「種鶏等」という。)を用いて生産された鶏は、国産の種鶏等を用いて生産された鶏に比べ、必要な飼料の量が少なく、肉用鶏にあっては出荷に適した体重に到達するのに必要な日数が短い等、その生産性が高いことが、種鶏等の輸入が多い理由と考えている。

二について

 平成三十年度食料需給表によると、平成三十年度において、鶏卵の自給率は九十六パーセントであり、鶏肉の自給率は六十四パーセントであるが、お尋ねの「種鶏等の輸入を考慮した場合」の自給率については、国内で飼養される種鶏等の総量に占める種鶏等の輸入量の割合に関する統計がないため、政府としては把握していない。

三について

 政府としては、海外での高病原性鳥インフルエンザの発生等により種鶏等の輸入が停止するリスクに備え、種鶏等を輸入している国内の主要な事業者に対して、種鶏等を繁殖に使用する期間の延長による鶏卵及び鶏肉の生産体制の維持や、輸入先国の変更による代替輸入等を行うことができる体制の整備について指導や助言を行っているところである。

四について

 御指摘の「原材料等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、野菜については、国内で流通している種子のうち輸入された種子の占める割合がおおむね九割程度であることを一般社団法人日本種苗協会からの聞き取りにより把握している。また、我が国に輸入される野菜の種子は、主に我が国の種苗業者が輸入先国において我が国へ輸出することを目的として生産しているものであること、これらの種子はリスクを分散させるために複数の国において生産されていること、及び各種苗業者は一年分程度の野菜の種子を常時在庫として国内で保管することが通例であることを同協会からの聞き取りにより承知しており、お尋ねのように輸入が停止した場合であっても、野菜の生産に直ちに支障を来すことはないと考えている。

五について

 御指摘の「農畜産物の原材料等」及び「生産過程のうち、民間では経済的な理由で国産で賄うことが難しい部面」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国民に対する食料の安定的な供給については、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)第二条第二項において「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない」とされているところであり、農畜産物の生産に必要となる種畜や種苗等についても、同様に、国内での生産の確保や輸入先国の多様化、備蓄の確保のほか、農畜産物の生産性向上などの施策を組み合わせることにより、これらの安定的な調達を確保する必要があると考えている。