質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第七八号
  令和二年三月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員舩後靖彦君提出新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員舩後靖彦君提出新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質問に対する答弁書

一について

 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第四十五条第二項の規定に基づく特定都道府県知事(同法第三十八条第一項に規定する特定都道府県知事をいう。)による施設の使用の制限等の要請に当たっては、同法第五条に規定されているとおり、「その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」ものと考えている。

二について

 御指摘の「社会的弱者」に対する支援については、新型インフルエンザ等対策特別措置法第六条の規定に基づき定められた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成二十五年六月七日閣議決定)において、「国は、市町村に対し、地域感染期における高齢者、障害者等の要援護者への生活支援(見回り、介護、訪問診療、食事の提供等)、搬送、死亡時の対応等について、都道府県と連携し要援護者の把握とともにその具体的手続きを決めておくよう要請する」こととしている。同計画を踏まえ、政府としては、「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」(平成二十五年六月二十六日新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議決定)を作成し、市町村に対して、要援護者の把握、要援護者への支援内容等の検討を要請している。今後も必要に応じて、同ガイドラインの周知徹底を図ってまいりたい。

三の(1)及び(2)について

 令和二年二月十七日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を踏まえ、社会福祉施設等における感染が疑われる者の発熱の目安を三十七・五度としている。ただし、発熱の判断をする際には、平熱に個人差があることについて留意することが必要であると考えており、「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について」(令和二年三月十九日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課事務連絡)により、御指摘の「平熱が高い脳性麻痺患者」及び「体調管理が適切にできない」知的障害者を含む、平熱が高い障害者等の対応については、主治医と相談するとともに、判断に迷う場合は帰国者・接触者相談センターに相談の上、対応するよう周知しているところである。

三の(3)から(5)までについて

 厚生労働省においては、障害者施設等について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)が、障害者施設等に配布するために、御指摘の「消毒薬」、「使い捨てガウン」、「使い捨て手袋」等(以下「消毒薬等」という。)を一括して購入等する場合に必要な費用の補助を行っており、また、介護施設等についても、都道府県が介護施設等へ配布するために消毒薬等を一括して購入する場合に必要な費用の補助を行っている。なお、消毒薬等の安定的な供給のため、厚生労働省においては、都道府県等に対して、「新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴うマスク・消毒用アルコール等の高齢者施設等への供給について」(令和二年二月二十一日付け厚生労働省医政局経済課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)を発出し、備蓄している消毒薬等について、管内の訪問看護事業所を含む高齢者施設等への放出を検討するよう依頼しているところである。また、障害者施設等や介護施設等におけるマスクの不足の解消を図るため、再利用可能な布製マスクを一括して購入し、当該施設等に配布しているところである。
 さらに、「新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴う手指消毒用エタノールの優先供給について」(令和二年三月十三日付け厚生労働省医政局経済課、医薬・生活衛生局総務課、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課、子ども家庭局総務課少子化総合対策室、子ども家庭局保育課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局子育て支援課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課、老健局老人保健課、文部科学省初等中等教育局幼児教育課及び初等中等教育局健康教育・食育課事務連絡)により、都道府県、保健所設置市及び特別区は、厚生労働省に対して手指消毒用エタノールの供給の要請を行うことができることとしており、日常的に人工呼吸器や喀痰吸引、経管栄養等の医療的ケアを必要とする者に対し、手指消毒用エタノールが確保されるよう取り組んでまいりたい。

三の(6)及び(7)について

 新型コロナウイルス感染症の影響により社会福祉施設等において職員の確保が困難である場合には、「社会福祉施設等における職員の確保について」(令和二年二月十七日付け厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室、子ども家庭局保育課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局子育て支援課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)により、法人間の連携等による他施設からの職員の応援が確保されるよう協力を依頼しているほか、「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第三報)」(令和二年三月十日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課事務連絡)や「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(令和二年二月十七日付け厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)等により、障害福祉サービス等事業所及び介護サービス事業所については、障害福祉サービス等報酬や介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準等について柔軟な取扱いを可能としている。また、職員が不足する事業所等に対し、都道府県が介護職員等の応援派遣を調整する場合に必要な費用の補助を行っている。

三の(8)について

 居宅を訪問してサービスを提供する職員については、「社会福祉施設等(入所施設・居住系サービスを除く。)における感染拡大防止のための留意点について」(令和二年二月二十四日付け厚生労働省健康局結核感染症課、子ども家庭局家庭福祉課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)において、出勤前に各自で体温を計測し、発熱が認められる場合には出勤しないことや、サービスの提供に当たってはその前後に手洗いやうがい、マスクの着用、エプロンの着用等感染機会を減らすための工夫を行うこと等について周知しているほか、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について」(令和二年三月六日付け厚生労働省健康局結核感染症課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)において、新型コロナウイルスの感染が疑われる者に対してサービスを提供する場合における留意点等を示しているところであり、サービスを提供する者に対する情報提供に努めているところである。

三の(9)について

 御指摘の「喀痰吸引等第三号研修」とは、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)附則第十三条第一号ハに規定する第三号研修を指すものと考えるが、当該研修については、必要な受講機会が確保されるよう、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の予防の観点から、研修の実施に当たって留意すべき事項を整理し、その周知を図る等、必要な対応を検討してまいりたい。