質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第五三号
  令和二年三月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と新型コロナウイルスに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と新型コロナウイルスに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」」(以下「クルーズ船」という。)を含む外国から来航した船舶に対しては、当該船舶が「外国船籍」であるか「日本船籍」であるかにかかわらず、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)に基づく検疫が行われているところである。

二及び三について

 御指摘の「下船者」、「ウイルスの保菌者がいないと断定した」及び「より確かな方法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和二年二月十五日に厚生労働省が公表した「クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号からの下船について」において示しているとおり、国立感染症研究所の「武漢からのチャーター便第一便から第三便までのPCR検査の結果(五百四十人が陰性、陽性の一人についてもウイルス検出量は陰性に近いレベル)を踏まえ、十四日間の健康観察期間中に発熱その他の呼吸器症状が無く、かつ、当該期間中に受けたPCR検査の結果が陰性であれば、十四日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないとの見解」に基づき、「PCR検査で陰性の方については・・・十四日間の健康観察期間が終了する二月十九日から、この十四日間の健康状態を改めて確認し、問題が無い方については更なるPCR検査を行わずに、順次下船していただくこととし」たところである。
 加えて、「ダイヤモンド・プリンセス号の下船者に対する健康フォローアップについて(依頼)」(令和二年二月二十三日付け厚生労働省健康局結核感染症課及び医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課検疫所業務管理室事務連絡)において「対象者の下船日の翌日を起算日として十四日経過するまでの間毎日、対象者に対して、健康フォローアップを実施する」こととしたところであり、引き続き、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止に努めてまいりたい。

四について

 お尋ねの「理論的には調査可能だが、実施が困難だったケース等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和二年二月二十五日の衆議院予算委員会第五分科会において、脇田国立感染症研究所長が、「クルーズ船の乗客の方々につきまして、症状がある感染者数を発症日ごとに確認をしております。隔離が始まりました二月五日以降、拡大防止の措置が適切にとられた。そして、二月七日に発症者のピークがございましたけれども、それ以降徐々に発症者数が減少しているという事実からは、隔離が適切に有効に行われているということを確認しております」と答弁したところである。

五の前段について

 御指摘の「事後感染」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、検体の検査(以下「検体検査」という。)後の健康観察期間中にクルーズ船内の同じ客室に滞在していた者(以下「同室者」という。)が新型コロナウイルス感染症にかかっていたことが判明した者等は、当該検体検査後に新型コロナウイルス感染症にかかったおそれがあるものと理解している。このため、そのような者については、当該同室者からの感染を防止するための措置がとられた時点から、改めて健康観察を行うこととしたところである。

五の後段及び六について

 クルーズ船内の乗組員については、国立感染症研究所及び国立研究開発法人国立国際医療研究センター国際感染症センターが作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」に基づき、クルーズ船内においては、御指摘の「調理から乗客に提供されるまで」を含め常時マスクを着用する等、感染の予防のための適切な措置を講じていたものと承知している。
 クルーズ船内の乗客の行動については、厚生労働省が作成した「船内行動における注意事項」において「船内においては散歩等の定期的な軽い運動を推奨する」、「乗客同士は二メートル間隔をとる」こと等を示し、クルーズ船内の乗客に周知していたが、これは、感染症等の専門家の了解を得て作成したものである。なお、「近距離ですれ違う人、散歩中に話し合っていた人もいた」との御指摘については、その具体的な状況が明らかではないため、お尋ねの「事実認識と評価」についてお答えすることは困難である。

七について

 クルーズ船内の医師については、患者の病態の状況等に応じ、クルーズ船内の客室を訪問して診察を行うこともあったと承知している。

八について

 クルーズ船内において開催されたイベントは、クルーズ船の船長の判断により行われたものであると認識している。令和二年二月三日にクルーズ船に対する検疫を開始し、新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いがある者に対する検体検査を開始したところ、同月四日に当該検体検査の一部で陽性の検査結果が判明したことから、全ての検体検査の結果の判明を待たず、同月五日に、新型コロナウイルス感染症のまん延を防ぐため、当分の間、乗客に対し、クルーズ船内の客室から出ることを控え、待機していただくよう指示すること等について、クルーズ船の船長を指導したものである。

九について

 お尋ねの「感染予防対策の従事者」及び「指揮系統」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、今般のクルーズ船に関する対応については、令和二年二月十九日の衆議院予算委員会において、加藤厚生労働大臣が、「今回のオペレーションを的確にするために、横浜の現地に私どもの橋本副大臣と自見政務官に、これはもうずっと行っていただいております・・・自見政務官から報告を受けたところ、船内の区域管理は適切に実施されているかを含め、船内の感染管理については、感染症防御チームの専門家の医師が船内を見ていただき、そして指摘があれば、それをその日のうちに対応しているということであります」と答弁したところである。

十及び十一について

 今般のクルーズ船に関する対応については、御指摘の「一般の国民及び船内の乗客・乗務員に対する情報提供及び情報公開」を含め、今後しっかり検証してまいりたいと考えている。今般のクルーズ船に関する対応を含め、現在、引き続き新型コロナウイルス感染症のまん延の防止に最大限取り組んでいるところであり、お尋ねの「スケジュール」を含め、現時点で検証の進め方等についてお答えすることは差し控えたい。