質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第三〇号
  令和二年二月十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出子どもの貧困に関し「声を上げられない子供や家庭の早期発見」のための具体的な方策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出子どもの貧困に関し「声を上げられない子供や家庭の早期発見」のための具体的な方策に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、お尋ねの「具体的な方策」について、例えば、養育支援を特に必要としている児童及び保護者を把握し、適切な支援につなげていくためには、訪問により直接家庭等に出向いて行う取組は重要であると考えており、現在、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の十の二の規定に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、全ての乳児のいる家庭を保健師等が訪問する乳児家庭全戸訪問事業及び同事業等により把握した支援の必要な家庭に対して保健師等が継続して訪問支援を行う養育支援訪問事業が行われているところである。
 また、都道府県及び市町村において、家庭教育の自主性を尊重しつつ、子育てに悩みや不安を抱える保護者等に対して、地域の子育て経験者等が自宅等を訪問し、情報提供や相談対応を行う等の家庭教育支援を行う事業が行われている。
 加えて、令和二年度予算においては、予期せぬ妊娠等により、不安を抱える若年妊婦等を支援するため、身近な地域で必要な支援が受けられるよう、都道府県、指定都市及び中核市において、若年妊婦等への支援に積極的なNPO等に委託し、巡回や自宅訪問による支援、SNSを活用した相談支援等を行う事業の実施に必要な経費を計上している。
 政府としては、引き続き、これらの事業について補助を行うとともに、これらの取組が着実に実施され、御指摘の「子どもや保護者」に適切な支援が図られるよう、様々な機会を捉え、周知、徹底を図ってまいりたい。

二の1及び2について

 お尋ねの「子ども自身からの相談を受け付ける窓口」については、児童相談所、市町村に設置された子ども家庭総合支援拠点、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の学校における相談体制等の整備を進めている。また、児童相談所相談専用ダイヤル、二十四時間子供SOSダイヤル等の電話相談窓口を設けているほか、都道府県、指定都市等におけるSNS等を活用した相談窓口の開設を推進している。
 なお、地方公務員である児童相談所及び子ども家庭総合支援拠点の職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等には、児童福祉法、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の規定により守秘義務が課されているほか、私立学校の職員等これらの法律による守秘義務が課されていない者についても契約等で相談する者の秘密を守るための適切な措置がとられているものと承知している。
 政府としては、引き続き、子供が利用しやすい相談体制の充実に努めてまいりたい。

二の3の(1)について

 お尋ねの「仕組み」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、「生活困窮者自立支援制度に関する学校や教育委員会等と福祉関係機関との連携について(通知)」(平成三十年十月一日付け三十文科生第四百三十五号文部科学省生涯学習政策局長及び初等中等教育局長事務取扱連名通知。以下「本通知」という。)を発出し、各教育委員会等に対して、学校等の業務を通じて生活困窮者を把握したときは、「スクールソーシャルワーカーを活用して、家庭が自立相談支援機関に相談するよう勧めたりする」等の積極的な対応を求めているところである。

二の3の(2)について

 お尋ねの「通報・相談の連携」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、教育と福祉の両面の専門的な知識及び技術を有し、教育と福祉の連携に重要な役割を担っているスクールソーシャルワーカーは、平成三十年度においては、約八割の中学校区において活動を行っている。

二の3の(3)について

 文部科学省においては、本通知により、各教育委員会等に対して、「生活困窮者自立支援制度を所管する福祉部局等との連携を積極的に進めていただく」よう求めているところであり、今後とも、様々な機会を捉え、本通知の周知徹底に努めてまいりたい。

三について

 地域のボランティアが子供たちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる「子ども食堂」については、「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について(通知)」(平成三十年六月二十八日付け子発○六二八第四号・社援発○六二八第一号・障発○六二八第二号・老発○六二八第三号厚生労働省子ども家庭局長、社会・援護局長、社会・援護局障害保健福祉部長及び老健局長連名通知)において、その運営者に対して、留意事項として、その活動を通じて、養育に支援が必要な家庭や子供を把握した場合、速やかに、市町村の子育て支援の相談窓口又は児童相談所へ連絡するよう求めている。また、市町村又は児童相談所に対しては、当該運営者から相談を受けた場合は、関係機関が連携しながら早期に必要な支援を行うことができるよう、協力を求めている。