質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一三〇号

持続化給付金等の支給対象から「性風俗関連特殊営業」を行う事業者が除外されていることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年五月二十五日

徳永 エリ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   持続化給付金等の支給対象から「性風俗関連特殊営業」を行う事業者が除外されていることに関する質問主意書

 政府は新型コロナウイルス感染症による影響を受けている事業者や個人事業主に対し、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える持続化給付金の支給を決定し、既に令和二年五月からその支給を開始している。
 しかしながら、ソープランド、デリヘル、テレクラといった風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業を行う事業者は支給対象外となっており、職業差別的な運用が行われている。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 性風俗関連特殊営業を行う事業者を支給対象外とする理由について、政府は、「社会通念上、公的資金による支援対象とすることに国民の理解が得られにくいのではないかということで、災害対応も含めてこれまで一貫して公的な金融支援や国の補助制度の対象外としてきたことを踏襲して、今回も対象外としている」旨の答弁を一貫して行っている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による被害が誰の責任にも帰することができないという特殊性に鑑みれば、今回についても、過去と同様に、国民の理解が得られないとの根拠は安易な印象論にすぎず、根拠が薄弱である。政府のいう社会通念上とは具体的にどういう考えなのか、また、国民の理解が得られないという点は、何を根拠にそう主張されるのか、その根拠を政府に伺う。

二 仮に、性風俗関連特殊営業を行う事業者が暴力団等の反社会勢力と結びついているから対象から外しているのだとすれば、それは安易な印象論に過ぎないと考えられ、そういった事業者は現実的にはかなり少数にとどまるのではないか。この点に関し、統計的な事実があるのであれば、お示し願いたい。

三 性風俗関連特殊営業を行う事業者は、他の事業者と同様に等しく納税を行っている。その一方で、持続化給付金の対象から性風俗関連特殊営業を除外するという差別的な取扱いは、憲法第十四条に規定する法の下の平等に反するのではないかと思われるが、こうした疑念に対する政府の見解を伺う。

四 政府は、個人事業主として、性風俗関連特殊営業に従事する者は持続化給付金の対象とする一方で、それらを行う事業者は対象外としている。そうした非対称的な運用の妥当性や論拠について、政府の見解を伺う。

五 個人事業主として、性風俗関連特殊営業に従事する者とそれらを行う事業者の経済的な関係は連動しているものであり、現在の運用が続けば、働き先を失う者が多数発生する可能性も否定できない。ひとり親で子供を育てる必要に迫られ、やむを得ずに性風俗関連特殊営業で働き、生活の糧を得ている方もいると推察されるが、こうした方が働き先を失い、生活に困窮する事態につながる懸念があるのではないか。そうした懸念に対する政府の見解を伺う。

六 性風俗関連特殊営業を行う事業者は持続化給付金のみならず、固定資産税等の軽減措置や資金繰り支援等、政府が講じるあらゆる支援措置の対象外となっている。その理由が「社会通念上、公的資金による支援対象とすることに国民の理解が得られにくいのではないかということで、災害対応も含めてこれまで一貫して公的な金融支援や国の補助制度の対象外としてきたことを踏襲して、今回も対象外としている」の一点張りでは、性風俗関連特殊営業を行う事業者から到底納得を得られないことは言うまでもなく、それこそ国民の理解も得られないと思われる。あくまでも、性風俗関連特殊営業を行う事業者をあらゆる支援の対象外とするというのであれば、改めて国民の意見を広く聴取する機会を設ける必要があると思うが、この点に関する政府の見解を伺う。

  右質問する。