質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第九七号

マスクに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年四月八日

川田 龍平


       参議院議長 山東 昭子 殿



   マスクに関する質問主意書

 政府のまとめた「緊急経済対策」によると、一世帯当たり二枚の布製マスクを配布するとしている。しかしながら布製マスクの効果については懐疑的な意見もあり、ウイルス防御という観点からその使用を国民に推奨することは科学立国を目指す我が国の行政としては、いささかエビデンスに欠くのではないかと、政策決定における哲学の一貫性について心配するものである。そもそも菅義偉官房長官は、令和二年二月十二日の会見で、「来週にはマスク不足は解消される」と明言しておられるが、現時点にいたってもマスク不足が解消される見込みはない。政府としてマスク不足解消を約しながら、在庫不足解消の実現性が厳しくなると、必ずしも有効性について確証の得られていない布製マスクを配布することで前言をもみ消すかのような政策は、パンデミック予防を目的とするマスク不足の解消という本質的な目的と何ら整合性がない。
 日本国民が一日一枚のマスクを使用するとすれば、一週間で九億枚弱のマスクが必要であることを考えると、政府の現状認識は甘すぎると言わざるを得ない。菅官房長官によれば、「まもなく月に六億枚のマスクが生産されるようになる」とのことであるが、我が国の人口を考えれば、月六億枚ではまったくもって十分な生産量でないことは政府として理解できたものと推測する。このような慢性的なマスク不足を解消するには、十分すぎるほどの供給状態が確保されなければならない。さもなくば、店頭に安定的にマスクが並ぶような社会ははかない夢である。
 ここでマスク不足に関して以下に政府の見解を問うものとする。

一 政府は全世帯に布製マスクを配布するとのことであるが、これにかかる予算を明らかにされたい。

二 布製マスクの全世帯配布にかける予算があるのであれば、マスクの安定的な製造のための施策やマスクを大量に保有している諸外国からの輸送のためのチャーター便の手配などにも用いることによって、市場にマスクが安定的に供給されるように配慮するべきではないのか。

三 文部科学省の示した学校再開への指針においても、マスクの着用を求めているが、現状のようなマスク不足の状況にあっては、マスクの購入は保護者及び教育関係者の負担を増やすのみである。マスクの着用を義務付けるような施策を提案するのであれば、少なくとも市場への安定供給確保は政府の責任である。市場へのマスクの安定供給にかかる政府の計画について明らかにされたい。

四 大学及び各種学校の学生及び教員へのマスクの供給についてはどのように考えているのか明らかにされたい。大学及び各種学校にあっては、教員に高齢者やリスク因子をかかえた者も多いと聞くところである。他方、こうした教育機関に通学する学生は、東京都の新型コロナウイルス感染者分布を鑑みれば、感染していながら無症状の者が多い世代である。こうしたことを鑑みれば、喫緊の対応が必要と考えるが政府の見解を明らかにされたい。

五 布製マスクの全世帯配布についてこの施策を見直し、マスク市場の安定化のための予算とするといった方向転換を検討できないか、政府の見解如何。

  右質問する。