質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第七五号

コンセッション事業と指定管理者制度、独立行政法人制度等との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年三月十二日

吉田 忠智


       参議院議長 山東 昭子 殿



   コンセッション事業と指定管理者制度、独立行政法人制度等との関係に関する質問主意書

 令和元年十一月一日に提出した「指定管理者制度、独立行政法人制度等に関する質問主意書」(第二百回国会質問第五〇号)に対する答弁(内閣参質二〇〇第五〇号)の一及び二についてで、指定管理者制度について「幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度であることから、現時点においては、同制度及び御指摘の「関係法制度」について見直すことは考えていない」とされている。また、三についてで、役所の窓口業務を独立行政法人に「民営化」あるいは「委託」する手法については、各地方公共団体において「導入するか否かを含め、適切に判断いただく」とされていることについて、以下改めて質問する。

一 コンセッション方式によるPFI事業(以下「コンセッション事業」という。)が導入された事業では、従事する者が退職派遣を命じられている一方、指定管理者制度では、公務員が第三セクター(監理団体)に派遣されている。今後、コンセッション事業者が、その管理事業の一部を指定管理者に委託することにより混乱が生じると思われるが、政府の見解を伺う。

二 指定管理者制度では、公務員の派遣期間が、十年以上となる状態が続いており、派遣された公務員の退職の度に指定管理者が独自に採用する(プロパー)社員で埋めるという変則的な状況は、行政サービスとして統一性が保たれているとは言えないのではないか。

三 指定管理者制度による事業、または直営であった事業が、コンセッション事業に切り替えられた場合、公務員の身分であったものが非公務員となる。コンセッション事業者に公務員が転籍(移籍)することに伴い、労働契約法が適用される。公務員の身分であったものが非公務員となることに伴う労働条件の変更について、政府の見解を伺う。

四 コンセッション事業の導入によって公務員の労働条件は根本的に変わるが、指定管理者制度の曖昧さ、すなわち、公務員に準じた労働条件のもとで、ほぼ同じ労働をするも、プロパー(指定管理者が独自で採用した民間労働者。賃金体系など低く抑えられている)に徐々に入れ替わるという状況を安易に踏襲し、使用者側にとって都合の良い労使関係を保つことにならないか危惧するところであるが、どうか。

五 直営あるいは指定管理者制度とコンセッション事業との違い、曖昧さとは、「収益性」と「公益性」との関係などについて、問題が整理されないまま今日に至っているためではないかと考えるが、どうか。

六 独立行政法人制度には、一般独立行政法人(非公務員型)と特定独立行政法人(公務員型)があるが、公務員の身分であったものが非公務員となることに伴い、労働条件あるいは労使関係が根本的に変更される。コンセッション事業の導入に伴う非公務員化も含めて、体系だった制度・システムが必要ではないか。政府の見解を伺う。

  右質問する。