質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第六七号

ネット・ゲーム依存症に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年三月三日

平山 佐知子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ネット・ゲーム依存症に関する質問主意書

一 二〇一九年五月、WHOはゲーム障害を精神疾患と位置付ける国際疾病分類(ICD)を正式決定した。ICDはWHOが作成する国際的に統一した基準で定められた死因及び疾病の分類であり、改訂されるのは約三十年ぶりである。ゲーム障害がICDで位置付けられることにより、診断の基準が明確になり、ゲーム障害に関する治療や研究が進むことが期待される。
 このゲーム障害に関し、厚生労働省は調査研究事業によるゲーム使用状況等に関する全国調査を行った。この「ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート」(以下「全国調査」という。)は国立病院機構久里浜医療センターが実施し、全国調査の結果は二〇一九年十一月に公表された。

1 全国調査はゲーム障害に関する厚生労働省初の実態調査であると承知しているが、全国調査を行った趣旨及び目的を伺う。

2 全国調査について、長時間ゲームをするほど生活への悪影響が出ているといった調査結果が新聞各社の報道等で取り上げられているが、全国調査の結果は科学的にどのような意味を持つのか確認したい。

3 長時間ネットやゲームを使用することがネット・ゲーム依存症につながると言えるのか、厚生労働省の見解を伺う。

二 今年に入り、香川県議会の委員会が、ネット・ゲーム依存症を防止する対策の推進を目的とした条例の素案(以下「本条例案」という。)をまとめた。本条例案には、子どものスマートフォン使用に関し、一日当たりの利用時間は六十分(学校等の休業日は九十分)までを上限とし、義務教育修了前の子どもは午後九時まで、それ以外の子どもは午後十時までに使用をやめることを基準とした使用上のルールを遵守させる努力義務を保護者に課す内容が含まれている。本条例案に対する県民の声とそれに対する県の回答が香川県HPで公表されているが、その中で県は、スマートフォン使用時間の制限について、県独自の調査や国立病院機構久里浜医療センターが実施した全国調査の結果を参考に規定されたものであると述べている。
 本条例案は、ネット・ゲーム依存症対策を目的に個人の自由や家庭内の教育に介入するような内容となっているが、全国調査の結果を根拠としてそのような規制を行うことは妥当であると言えるのか、政府の見解を伺う。

三 ネット・ゲーム依存症は、本人に限らず家族にも重大な影響を及ぼしており、苦しむ方々のためにも効果的な対策を行うことが急務であると考えるが、政府として今後どのような取組をすべきであると考えているか。また、その取組における科学的な根拠の必要性についてはどのように認識しているか。

  右質問する。