質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第五四号

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用調整助成金の特例に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用調整助成金の特例に関する質問主意書

 政府は平成三十年七月豪雨に伴う雇用調整助成金の特例措置を実施し、特例の対象となる事業主については、厚生労働省のウェブサイト上にて「平成三十年七月豪雨による災害に伴う「経済上の理由」により休業等を余儀なくされた事業所の事業主(※平成三十年七月豪雨による災害に伴う休業等であれば被災地以外の事業所でも利用可能です。)」とした。
 また、同ウェブサイト上において、平成三十年七月豪雨の影響に伴う「経済上の理由」について(1)から(5)までの例示を行った。

(1) 取引先の浸水被害等のため、原材料や商品等の取引ができない場合

(2) 交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない場合

(3) 電気・水道・ガス等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない場合

(4) 風評被害により、観光客が減少した場合

(5) 事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や修理部品の調達が困難なため、早期の修復が不可能であることによる事業活動の阻害

 前記特例の対象となる事業主や例示については令和元年台風十五号、十九号、二十号及び二十一号に伴う雇用調整助成金の特例にもほぼ同じ申請条件の緩和が引き継がれたと承知している。ところが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用調整助成金の特例措置(以下「新型コロナウイルス感染症の特例措置」)については、豪雨時の緩和措置と同様の緩和措置がない。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 中国に限らず、世界中で新型コロナウイルス感染症に伴う工場の操業停止等が報じられている。これは取引先の新型コロナウイルス感染症の影響等のため、原材料や商品等の取引ができない事態に陥っているのであるから、新型コロナウイルス感染症の特例措置の適用条件及び内容を、前記(1)を条件に含む豪雨時と別異にする必要はないと考えるが、政府の見解如何。

二 世界中の報道機関によって日本における新型コロナウイルス感染症の影響についての報道がなされている。日本への渡航に際し、特別な注意や自粛を呼び掛ける国もあるとの報道がなされている。既に、中国はもとより、世界中から日本に来る観光客が減少したと承知している。この場合、風評被害により、観光客が減少したとも考えられるから、新型コロナウイルス感染症の特例措置の適用条件及び内容を、前記(4)を条件に含む豪雨時と別異にする必要はないと考えるが、政府の見解如何。

三 新型コロナウイルス感染症の影響により、不要不急の外出を避けるべく、各地でイベントが中止になり、そのイベントに関連する事業者も注文がキャンセルになる等の影響が出ていると承知している。これは新型コロナウイルス感染症の影響により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができないのであるから、新型コロナウイルス感染症の特例措置の適用条件及び内容を、前記(2)を条件に含む豪雨時と別異にする必要はないと考えるが、政府の見解如何。

四 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う「経済上の理由」により休業等を余儀なくされた事業所の事業主に対して、既に発表されている新型コロナウイルス感染症の特例措置とは別に、追加で特例措置を実施する予定が政府にはあるのか。政府の見解を示されたい。

五 事業主にとって、いつ、いくらの助成金を確保できるのか知ることは資金繰りや信用等、事業運営上重要であると承知している。仮に予算等の関係で前記四の追加特例措置が今すぐ実施できない場合でも、政府として追加特例措置を行う意思決定をすぐに行うべきであり、予算確保後に速やかに追加特例措置を行うのであれば、追加特例措置を実施予定である旨の広報や受給手続き等の事務を速やかに実施することが重要と考えるが、政府の見解如何。

六 雇用調整助成金について、事業主が申請を行った後、いつ、いくらの助成金を確保できるのかを事業主に書面で通知する制度は存在するのか。また、雇用調整助成金の予算確保が事業者に対する書面通知よりあとになる場合でも、事業者に対して書面通知を行うことはあるのか。

  右質問する。