質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第五一号

ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月十九日

那谷屋 正義


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する再質問主意書

 私が提出した「ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する質問主意書」(第二百一回国会質問第一七号)に対する答弁書(内閣参質二〇一第一七号)は、具体的な内容に乏しく、質問の求める回答になっていないため、以下質問する。
 ソ連において有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者及びその遺族は、戦後七十五年になる現在も正確な情報を得られず、死亡時の情報が間違っている例も少なくない。遺族の中には現在も戸籍記載事項の訂正に取り組んでいる遺族もおられる。この問題はほとんど知られないままに、長い時間が経過しているが、個別の情報提供と併行して、全体像を明らかにし、問題点を整理して示すことは、戦後強制抑留者特別措置法十三条が規定する実態解明の課題のひとつでもある。有期刑・死刑に処せられた日本人抑留者の数すら明らかにできないというのは怠慢との批判を免れない。
 ロシア連邦との平和条約締結に向けての外交交渉とともに、戦後強制抑留問題の処理を遺族・国民が納得できる形で遂行するのが政府の使命であると考える。誠実かつ正確な答弁を求める。

一 第二次大戦後、ソ連の国内法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者の方々について、政府はどのように認識しているか。

二 ロシア連邦政府から提供された抑留中死亡者に関する資料の中には、判決日や判決内容等の裁判に関する情報が何人分記載されているか。

三 ロシア連邦政府から提供された抑留中死亡者に関する資料の中には、「名誉回復」の年月日は何人分記載されているか。

四 ロシア連邦政府から提供された抑留中死亡者に関する資料により判決日や判決内容等の裁判に関する情報や「名誉回復」に関する情報を入手した後、政府はそれらの情報を、抑留中死亡者の遺族や元受刑者及びその遺族らに伝達したか。実際に判決日や判決内容等又は「名誉回復」についての伝達を受けた遺族や元受刑者は何人か。

五 駐日ソ連大使館で「名誉回復証」が遺族に手交された際には、日本政府職員も立ち合っている。政府が承知している限りで、ソ連・ロシア連邦政府から発行された「名誉回復証」は何人分か。

六 ソ連において訴追され、判決を受けて、のちに「名誉回復」されている方々の場合は、その容疑事実が「冤罪」であり、訴追・投獄は重大な「人権侵害」であったと考えられるが、政府はそのように認識していないのか。

七 処刑されたり、獄中で病死した抑留者の遺族や帰還した元受刑者及びその家族らは、そのことによる差別や偏見に戦後苦しんでこられたと聞く。いわゆる「シベリア三重苦」(寒さと飢えと重労働)を超える、ソ連の国家犯罪と人権侵害の被害者であったが、これらの被害者・遺族に対して、政府としてどのような支援や援護を行ってきたか。具体的に説明されたい。

八 ソ連・ロシア連邦政府が行った「名誉回復証」の発行は元受刑者及びその遺族に対して直接行われたものだが、これらの手続きに関して、ソ連・ロシア連邦政府から日本政府に対する説明はあったのか。日本政府に対し、ソ連・ロシア連邦政府からこの件に関して公式に謝罪の意が表明されたか。謝罪の意が表明されたのであれば、いつ、どのように行われたか。

九 ソ連において訴追され、判決を受けて、のちに「名誉回復」された戦後強制抑留者の方々に対するいわれなき差別や偏見をなくすためにも、日本政府としても国内向けにそのつど告知・広報すべき責務があったはずだが、そうした措置は取られたか。

  右質問する。