質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第四五号

ネガティブ・オプション商法の現状と対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月十七日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ネガティブ・オプション商法の現状と対応に関する質問主意書

 ネガティブ・オプションとは、注文がないにもかかわらず事業者が消費者に商品を送付した上で、売買契約の申込みを行ったり、事業者の言う条件の下で売買契約の成立を主張して代金を請求することをいう。「送りつけ商法」、「押しつけ販売」ともいう。
 過去には、カニの送りつけ商法などのケースについて、大きな問題となった。
 このような商法への対応について、以下の通り質問する。

一 法律的には、勝手に送られてきた商品の代金は、支払う必要はない。また、商品を返送する必要もない。但し、これらの商品は、すぐ捨てることはできず、保管する必要がある。
 特定商取引に関する法律第五十九条の規定により、送付があった日から起算して十四日を経過する日(業者に引き取りを請求した場合には七日)までに消費者が購入の承諾をせず、かつ業者が商品の引き取りをしないときは、業者はその商品の返還を請求することができないことになっている。
 しかしながら、この期間が経過する以前に送付された商品を使用してしまうと、購入の承諾をしたとみなされ、代金を支払わなければならない。また、一度代金を支払うと承諾したとみなされ、返金させるのは非常に困難となる。業者が代金引換を併用して送付する場合などは、消費者が「家族の誰かが注文したのだろう」と誤認して支払うケースも多く見受けられる。
 このような消費者の本意に基づかない購入を押しつける商取引は、消費者保護の観点から望ましくないと考える。消費者保護、安全の確保等を主務とする消費者庁として、このような商法に対する認識を明らかにされたい。

二 民法及び特定商取引に関する法律上適切とされる、このネガティブ・オプションへの対処方法は、(1)代金を支払わず、(2)期間経過前に商品を使用せず、無視するということになるが、この事実が消費者に周知されていると政府は判断しているか。

三 仮に、前記二の周知が不十分だとすれば、消費者に対する注意喚起をより積極的に行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 このようなネガティブ・オプションによる被害の状況ないし苦情及び相談等の件数について、明らかにされたい。

五 ネガティブ・オプションについては、明確な禁止規定がないと政府側から説明があったが、少なくとも、商品送付と同時に請求書を送りつけ、送りつけられた人がその商品を購入しない旨の通知や返品をしないと、「購入の意思がある」と決めつけて代金の請求をするなどの、明確に民法及び特定商取引に関する法律の内容と異なる説明をして商品を販売しようとする業者に対しては、指導、監督も検討すべきではないか。政府の見解如何。

  右質問する。