質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第四〇号

ケアラー支援に関する具体的施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月十二日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ケアラー支援に関する具体的施策に関する質問主意書

 家族等の介護者であるケアラーはケアをすることにより、当たり前の社会生活から遠ざかる傾向がある。また、心身の健康を害したり、社会的孤立に陥ることも多い。

一 ケアラーが幸せでなければ、介護される人も幸せになれないのは自明の理である。従って、ケアラー支援の目指すべき目的として、ケアラーと介護される人が、ともに尊厳や健康を守り、介護があっても、自分の仕事や人生、QOLを保った生活をあきらめなくて済む社会を実現すべきと考えるが、この点に対する政府の見解を問う。

二 日本の介護保険は要介護者本人の自立支援を目的としている。地域包括ケアシステムの主体に介護者が位置づけられたとはいえ、家族介護支援事業は地域支援事業の任意事業の一つに過ぎず、全国一律の家族介護支援事業を行わず保険者にその実施は任されている。

1 介護者支援関連施策の予算額の近年の推移について、国及び自治体それぞれについて示されたい。

2 自治体における家族介護支援事業の実施状況を明らかにされたい。

三 ケアラーの中には、相談相手がおらず、客観的に見ると、本人の心身の健康状態に問題があったり、経済的にも厳しく支援が必要な状態であるにもかかわらず、本人がそれに気づいていない場合がある。

1 ケアラーへの支援が必要な状況になったとき、現状の相談受け入れ窓口はどうなっているのか。

2 社会的に孤立し、支援が必要な状況にもかかわらず、社会的に不可視化してしまい隠れ要支援者となったケアラーに対しては、アウトリーチ的なアプローチも必要と考えるが、そのための具体的な施策について政府の見解を伺う。

四 ケアラーが抱える問題は、情報不足に由来するケースも多い。現在は誰もがケアラーになる可能性がある社会状況であることを踏まえると、ケアラーに対する有用な情報や知識の提供及び将来ケアラーになるかもしれない人たちに対する必要な予備知識の提供の双方を充実させていく必要性は高いと考えるが、この件に関する政府の見解を伺う。

五 ケアラーからは、介護の場から一時的に、安心して離れることのできるサービスへの要請が強い。また、この要請に応えるため、介護家族の介護負担疲れを軽減するレスパイトサービスの充実を図るべきであり、少なくとも、現状での介護家族が現行のレスパイトサービスをより利用しやすいよう柔軟な提供に努めるべきと考えるが、政府の見解を伺う。

六 公的な介護サービスを受ける際の重い自己負担が払えないために、介護保険を利用したくとも利用できない層が、家族介護者となっている可能性が考えられる。このようなケースについては、どのような支援を想定しているか。

  右質問する。