質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第三六号

内閣総理大臣主催「桜を見る会」の前夜に開催されていた安倍晋三後援会主催「前夜祭」に関する安倍総理の答弁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月六日

石橋 通宏


       参議院議長 山東 昭子 殿



   内閣総理大臣主催「桜を見る会」の前夜に開催されていた安倍晋三後援会主催「前夜祭」に関する安倍総理の答弁に関する質問主意書

 令和二年一月三十一日の参議院予算委員会において、安倍晋三内閣総理大臣は、私からの質問に対し、以下の答弁を行っている。
 「宴会場におけるこうした領収書のやり取りについては、基本的に、宴会場で行った場合には手書きで書く、そして日付あるいは摘要、そして担当者、これキャッシャーということになっているらしいんですが、担当者の名前を手書きで書き入れるということになっているということでございますので、これはニューオータニにおいてはそういう対応をしているということでございまして、間違いないわけでございます」
 「受付を担当した私の事務所の職員によれば、領収書はカーボンコピー仕様で領収書番号が記載されていたほか、担当者の名前が手書きされていたということでございますが、私の事務所の職員は夕食会参加者とホテル側との間の参加費のやり取りを仲介したものの、ホテル側との契約の当事者はあくまでも個々の参加者であり、領収書の写し等の提出をホテル側に求めることは困難であると認識をしております」
 「この会の、夕食会の主催はこれは後援会でございますが、しかし、契約の当事者は誰かといえば、これはホテル側と契約の当事者はあくまでも個々の参加者でございます。(中略)これは収支報告書にこれは記入する必要がないという判断をしているわけでございます。これは収支と、収入と支出が一致しているということだけではなくて、これは当事者がまさに個々の参加者であるということによって、これは記入をしていないということであります。ですから、まさに法的な立場としては契約の当事者はあくまでも個々の参加者であり、領収書の写し等の提出をホテル側に求めることは困難である」
 以上の安倍総理の答弁について、以下、質問する。

一 安倍総理は、「ホテル側と契約の当事者はあくまでも個々の参加者」であったと答弁しているが、この個々の参加者がホテル側と結んだ契約とは、いかなる契約行為(例えば売買契約か製作物供給契約など)だったのか、明らかにされたい。

二 前記一に関連して、当該契約は、(1)いつの時点で、(2)両者の間のいかなる行為または合意によって発生・成立したものであったのか、説明されたい。
 なお、これまでの安倍総理の国会答弁では、個々の参加者は、安倍晋三後援会事務所(以下「安倍晋三事務所」という。)からの案内及び募集アンケートに回答する形で「前夜祭」への参加申込みを行った上で、当日、会場入り口受付において、安倍晋三事務所から事前に案内されていた通りの参加費用(五千円)を安倍晋三事務所スタッフに対して支払い、そのスタッフより、ホテルニューオータニ発行の領収書(金額・摘要等は手書きで、宛名は空欄)を受け取ったとの説明がなされている。それが事実であれば、個々の参加者とホテルニューオータニ側との間には、契約成立前から成立後に至るまで、一切の接触・やり取り・合意がなかったと解せざるを得ないが、その理解でよいかも含めて回答されたい。

三 安倍総理の答弁に基づけば、安倍晋三事務所は個々の参加者とホテル側との契約を仲介したのみということになるが、それでは、(1)「前夜祭」の参加人数の確定とそれに基づく開催会場(当該ホテル内の会議場)の選定・決定、(2)「前夜祭」において提供された飲食物の内容及び提供量の相談・決定及び(3)参加者一人当たり五千円の価格設定について、ホテル側と事前に協議・調整・合意し、確定した主体は誰であったのか、明らかにされたい。
 なお、前述のような契約の重要事項についてのホテル側との協議・合意当事者が「前夜祭」の主催者だったとされる安倍晋三事務所であったとすると、ホテル側との契約主体は個々の参加者ではなく安倍晋三事務所であったと解せざるを得ないが、安倍総理の答弁通り、安倍晋三事務所は契約主体ではなかったとするのであれば、安倍晋三事務所はいかなる法的な立場において契約の重要事項の協議・合意・決定を行っていたのか、併せて明らかにされたい。

四 安倍総理は私の質問に対し「ホテル側との契約の当事者はあくまでも個々の参加者であり、領収書の写し等の提出をホテル側に求めることは困難」との答弁をしているが、前記三の関係で言えば、安倍総理又は安倍晋三事務所は当該契約を実質的に協議・締結したか、もしくは代理契約の当事者の役割を果たしており、その立場においてホテル側に対して明細書及び領収書の提出・提供を求めることの出来る(求めるべき)立場にあると考えられるため、重ねて明細書及び領収書の提出をホテル側に要請し、国会に提出すべきであると考えるが、安倍総理の認識を示されたい。

五 もし「前夜祭」に関する契約が個々の当事者とホテルニューオータニとの間に成立していたとすると、事前に参加申し込みを済ませていた参加者が、当日、自己都合で欠席した場合は、ホテルニューオータニは規約に基づき当該参加者に対して契約不履行による参加料金または一定の違約金の支払いを請求できることになるが、両者の間でそのような契約になっていたのか否か、確認の上、回答されたい。

六 問題となっている前述の質疑において私は、安倍総理が答弁で認めたカーボンコピーでホテル側が所持しているはずの「領収書」の写しの提出と併せて、領収書の発行枚数が何枚であったかを通し番号の記録で確認し、報告することを求めたが、安倍総理の答弁ではこの点が漏れていた。そこで、あらためて安倍総理又は安倍晋三事務所よりホテルニューオータニに対し、過去三年分、もしくは少なくとも昨年分の「前夜祭」について、ホテル側が事前に何枚の領収書を発行し、安倍晋三事務所に渡していたのかを確認の上、回答されることを求める。なお、その際、もし事前に発行した領収書から、剰余分の返還ないしは不足分の追加があった場合には、その枚数を併せて確認の上、回答されたい。

七 前記二から六に関連し、ホテル側が事前に約四百万円規模の宛名不記載の領収書を安倍晋三事務所に渡していたのであれば、当然、ホテルニューオータニと安倍晋三事務所との間で、枚数を明記した「預かり証」を交わしており、事後、参加者から集金した金額の全額をホテルニューオータニに渡した際には、その「預かり証」に記載の枚数と支払金額を確認した後、「預かり証」が安倍晋三事務所に返却されていたと推察されるが、そのような「預かり証」のやり取りがなされていたのか否か、ホテル側にも確認の上、回答されたい。

  右質問する。