質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

子どもの貧困対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月四日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   子どもの貧困対策に関する質問主意書

 子どもの貧困対策に関する諸論点について、以下の通り質問する。

一 地域のNPOなどは、官民共同の子供の未来応援基金などを活用し、子ども食堂や学習支援、居場所事業などを展開している。子どもの貧困対策には多様なプレーヤーが主体的あるいは有機的に関わっていくことが重要であり、そのような意味でも草の根NPOの支援には大きな意味があると考える。しかし、内閣府が二〇一九年五月十三日に公表した調査結果によれば、貧困状態にある子どもを支援する民間団体は、一年間の事業費が三百万円未満で活動する団体が約七割と、小規模での支援を行う団体が多い傾向にあること、また、六割超が資金不足に直面するなど活動資金や人材の確保に課題を抱えている団体が多いとのことであった。
 二〇一九年六月四日の参議院内閣委員会で、この件に関する所見を内閣府に問うたところ、子供の未来応援国民運動の推進や民間資金による子供の未来応援基金による支援を引用した答弁があった。
 しかし、政府が引用したこれらの施策の推進が既に行われた結果、「六割超が資金不足」という状態なのである。政府は盛んに「民間との連携」を提唱するが、肝心の民間団体の組織基盤が脆弱な状況では、民間との連携は絵に描いた餅ではないか。これらの施策以外で、NPOを始めとする民間団体の資金、人員不足に対する具体的な解決策を検討すべきと考えるが、検討の必要性についての政府の見解を伺う。

二 今回の子どもの貧困対策に関する大綱の改定で、世帯所得だけでは見えない貧困があることに鑑み、従来二十五だった指標を三十九に増加させ、子どもの貧困をより実態に即したかたちできめ細かく「見える化」しようとしたことは評価しうる。
 子どもの貧困対策を推進するため、この指標に基づき、毎年有識者会議において大綱に基づく各種施策の実施状況や効果を検証、評価しており、政策のPDCAサイクルを廻す仕組みとなっている。
 この過程における指標の分析に際しては、「指標の変化の要因分析」も重視すべきではないか。また、現在、三十九に増加した指標は実態把握のツールとしてそれなりに機能しているが、その結果である実態(指標の変化・推移)につながる政策の一つ一つがその結果を生み出すのにどれだけ機能し、貢献したかということも、今後の対策に資するという意味でも把握する努力をすべきではないか。政府の見解を伺う。

三 そもそも、子どもの貧困対策でどの程度の予算を使っているのか、把握できるようになっていないと政府は説明するが、予算立てが内数方式になっているケースも多い。これでは、子どもの貧困対策予算の年次推移も分からず、政策の効果測定は困難である。仮定を置くなどの工夫をするなりして、子どもの貧困対策予算の概算額を国会に示すよう政府は努力を行うべきではないか。

  右質問する。