質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第一一一号
  令和元年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員芳賀道也君提出農地の放射性セシウム濃度調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員芳賀道也君提出農地の放射性セシウム濃度調査に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「重量一キログラムあたり四百ベクレル」は、「放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定について」(平成二十三年八月一日付け二三消安第二四四四号・二三生産第三四四二号・二三林政産第九九号・二三水推第四一八号農林水産省消費・安全局長、生産局長、林野庁長官及び水産庁長官連名通知)により、放射性セシウムによる農地土壌の汚染拡大を防止する等の観点から、肥料、土壌改良資材及び培土(以下「肥料等」という。)について、これらを長期的に施用しても、農地土壌に含まれる放射性セシウム濃度が東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故前の当該濃度の範囲内に収まる水準として設定された当該肥料等に含まれることが許容される放射性セシウム濃度の最大値であり、農地土壌について設定されたものではない。また、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)に基づく土壌等の除染等の措置(同法第二条第三項に規定する土壌等の除染等の措置をいう。)は、事故由来放射性物質(同法第一条に規定する事故由来放射性物質をいう。)による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的として行うものであることから、その実施の要否は、当該影響の程度の指標となる空間線量率等により判断しているものであり、土壌に含まれる放射性セシウム濃度により判断しているものではない。

二について

 お尋ねの「調査費用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、東日本大震災農業生産対策交付金等により、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県の区域を対象に、これらの地域で生産される農産物が食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十一条第一項の規定に基づく食品中の放射性セシウムに係る基準値等を超え、又は超えるおそれがあると都県知事が認める場合における農地土壌に含まれる放射性セシウムの農作物への吸収抑制対策を支援しており、この吸収抑制対策の効果を確認するための土壌分析に要する費用の一部を補助しているところである。また、「東京電力ホールディングス株式会社へ調査費用を請求すべきか」とのお尋ねについては、政府としてお答えする立場にないが、仮に請求する場合の手続としては、東京電力ホールディングス株式会社への直接請求や、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第十八条第二項第一号に規定する和解の仲介の手続をいう。)への申立て等がある。