質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第六一号
  令和元年十一月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出暗号資産による納税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出暗号資産による納税に関する質問に対する答弁書

一について

 国税の納付については、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第三十四条第一項において「国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行(国税の収納を行う代理店を含む。)又はその国税の収納を行う税務署の職員に納付しなければならない。」と規定されており、金銭による納付が原則とされている。

二及び四について

 国税の納付は、金銭によるほか、国税通則法第三十四条第一項ただし書に規定する、証券をもつてする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)に定めるところによる証券による納付、同条第二項に規定する、印紙で納付すべきものとされている国税又は印紙で納付することができるものとされている国税の印紙による納付、同条第三項に規定する、物納の許可があった場合の物納が認められているところである。
 その上で、当該物納については、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第四十一条の規定により、納税義務者が相続税額を金銭で納付することを困難とする事由がある場合において、税務署長の許可を得て、相続財産のうち不動産や有価証券など管理又は処分に適した財産として同条第二項に列挙されているものによることができる。
 お尋ねの「暗号資産」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年六月七日に公布された、情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第二十八号)第一条の規定により「暗号資産」に改めることとされている、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項に規定する「仮想通貨」である場合は、相続税法第四十一条第二項に規定する物納に充てることができる財産に該当しないため、物納することはできない。

三について

 お尋ねの「暗号資産」については、二及び四についてで述べたとおりである場合は、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第七十五条から第七十八条までの差押禁止財産に該当せず、また、他の個別の法律の差押禁止規定の対象に該当しないため、現行法上差押えを禁じられていない。

五について

 国税徴収法第六十二条第一項に規定する電子記録債権は、電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいい、同項及び同法第三条の規定により電子債権記録機関が作成する記録原簿に電子記録をしなければ発生又は譲渡の効力が生じない金銭債権であるところ、お尋ねの「暗号資産」については、二及び四についてで述べたとおりである場合は、その発生又は譲渡の効力は電子債権記録機関作成の記録原簿への電子記録によるものではなく、当該電子記録債権には含まれない。