質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第五二号
  令和元年十一月十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の推進がもたらす自治行政のあり方の変化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の推進がもたらす自治行政のあり方の変化に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「コンセッション事業が優先して導入される対象とされる道路や河川等」及び「各自治体の自律性を損なうことがないようにするため・・・のマニュアル」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、各地方公共団体におけるマニュアルについては、それぞれの地方公共団体において適切に整備されるべきものであると考えている。

二について

 御指摘の「コンセッション事業による有料施設の運営の収支」及び「一般会計からの繰り入れ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体が所有権を有する公共施設等のいわゆるコンセッションの方式を利用した民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業(以下「コンセッション事業」という。)の運営権者の計算書類についてのお尋ねであるとしても、政府として網羅的に把握しているわけではないため、お答えすることは困難である。なお、一部の運営権者が、そのホームページ等において、計算書類を公表している例があることは承知している。

三について

 御指摘の「コンセッション事業に対応するため」の「関係法の改正」については、現時点において考えていない。

四について

 御指摘の「安全性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体における公共施設等の運営については、コンセッション事業を導入するか否かにかかわらず、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)その他の関係法令を遵守して行われるべきものと考えているところであるが、お尋ねの「パブリックミーティング等の設置を制度化・義務化」することについては、当該地方公共団体において適切に判断されるべきものであると考えている。

五について

 お尋ねの「コンセッション事業により行われている事業の技術やノウハウを有する各自治体の技術者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省が実施している平成三十年四月一日現在の「地方公共団体定員管理調査」における土木技師及び建築技師の職員数は、それぞれ、八万二千五百五十二人(三十年前の昭和六十三年同期と比較して千八百七十八人減少)、二万二千五百九十九人(三十年前の昭和六十三年同期と比較して二千七百六十六人増加)となっているが、「十年後及び三十年後には当該技術者がどれくらい減少すると予想しているのか」とのお尋ねについては、お答えすることは困難である。また、「技術やノウハウの伝承に支障をきたしていないのか」及び「モニタリングする能力を失うことにならないか」とのお尋ねについては、政府において、既存のモニタリングに関するガイドラインにおける規定事項に加えて、コンセッション事業において留意する必要がある事項を示した「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(平成三十年十月十八日民間資金等活用事業推進会議決定)を策定・公表し、地方公共団体の職員に対して説明・周知しているところである。

六及び七について

 お尋ねの「一般道路」及び「「短期的」なコンセッション事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、コンセッション事業は公共施設等の利用料金を徴収するものに限られており、その利用について料金を徴収しない道路の管理については、コンセッション事業の対象とはならず、また、政府が道路の供用が開始されるまでの間に、当該道路に公共施設等を設け、当該公共施設等についてコンセッション事業を導入することは検討していない。

八について

 御指摘の「耐久性が限界にきており、その限界となる時期は今後十年間に集中している」、「高架、橋げた、トンネルなどの維持や更新がコンセッション事業として取り組まれようとしている」、「関係台帳の整備」及び「財政的な支援態勢」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、国民の安全・安心を確保し社会経済活動を支える基盤として、インフラを適切に維持管理・更新していくことは極めて重要であると認識している。

九について

 お尋ねの「文化・体育施設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和元年改定版)」(令和元年六月二十一日民間資金等活用事業推進会議決定)において、文教施設(スポーツ施設、社会教育施設及び文化施設をいう。以下同じ。)に係るコンセッション事業の導入については、「平成二十八年度から平成三十年度までの集中強化期間中の数値目標は達成した。今後も引き続き重点分野とし、文教施設の具体の案件形成が行われるよう、関係府省と連携しながら、地方公共団体等の取組を支援する」とし、MICE施設に係るコンセッション事業の導入については、「平成二十九年度から令和元年度までを集中強化期間として、六件のコンセッション事業の具体化を目標とする」としている。

十について

 御指摘の「国際標準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文教施設の一部である社会教育施設に含まれる動物園に係るコンセッション事業の導入については、九についてでお答えしたとおりである。