質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第四四号
  令和元年十一月八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員ながえ孝子君提出アコヤ貝の大量斃死に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員ながえ孝子君提出アコヤ貝の大量斃死に関する質問に対する答弁書

一について

 農林水産省において把握している限りでは、本年は三重県と愛媛県においてアコヤガイの大量へい死が発生しており、その後に残存したアコヤガイの量は、それぞれの漁業集落ごとに差があるものの、例年と比較して、三重県においては稚貝で二割から六割程度、母貝で五割から九割程度、愛媛県においては稚貝で二割から七割程度、母貝で五割から九割程度であった。他方、長崎県等の両県以外の主要な生産県においては、残存するアコヤガイの量は、おおむね例年並みとなっている。

二について

 アコヤガイの養殖業者がその営む漁業につき異常の事象又は不慮の事故によって受けることのある損失については、漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)第七十八条第二項に規定する養殖共済又は同条第三項に規定する特定養殖共済による補填の対象となるものであり、それぞれ、同法第百二十四条又は第百二十五条の十一の規定により、共済金が支払われることとなる。また、アコヤガイの新規購入に必要な資金や運転資金については、漁業近代化資金融通法(昭和四十四年法律第五十二号)第二条第三項に規定する漁業近代化資金や株式会社日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金等の利用が可能である。政府としては、これらの措置により、被害を受けた養殖業者の経営の安定を支援していく考えである。

三について

 「アコヤ貝の大量斃死の発生原因をどのように認識しているのか」とのお尋ねについては、その原因として、海水温の上昇に養殖作業が対応できなかったことや成育状態が悪いアコヤガイを使用したこと等が指摘されているところであるが、現時点においては具体的に特定されておらず、政府としては、引き続き、試験研究機関等と連携して原因究明に取り組んでいく考えである。また、「これからどのような対応策を講ずる予定であるのか」とのお尋ねについては、関係漁業協同組合連合会、関係地方公共団体、試験研究機関等により構成される真珠産業連携強化協議会への支援を通じて、最近の海洋環境の下でのアコヤガイの養殖管理における留意点について整理し、周知を図るとともに、健全なアコヤガイの確保のための仕組み作りに取り組んでいく考えである。