質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第二五号
  令和元年十月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員古賀之士君提出抗菌薬の安定供給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員古賀之士君提出抗菌薬の安定供給に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「危うい状況」及び「安全保障上の問題」の意味するところが必ずしも明らかではないが、保険医療上の必要性が高い医薬品について、企業の経営事情等により製造又は輸入が行われず、予告なく供給停止が行われることは感染症の医療を含む医療の提供に支障を来すおそれがあると考えている。

二について

 御指摘の「各薬剤の生産体制の把握とリスクの評価」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、「医療用医薬品の供給停止について」(平成十年十月七日付け経第五十六号厚生省健康政策局経済課長通知)により、医療用医薬品の供給停止を行おうとする製造販売業者(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十二条第一項の規定に基づく医薬品の製造販売業の許可を受けた者をいう。以下同じ。)に対し、当該医薬品を代替する医薬品の有無等について報告を求めるとともに、必要に応じ、当該医薬品を代替する医薬品の製造販売業者に対し増産を求める等の対応を行っている。また、御指摘の「主要な抗菌薬」及び「原料の原産地表示を製薬企業に義務付ける制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、民間企業及び関係団体において、原薬の製造国に係る情報公開、原薬の製造国に係る情報公開方針の作成等の自主的な取組が行われていると承知している。

三について

 御指摘の「国内で製造可能な条件の整備」、「製造許認可の条件の見直し」及び「国内生産でも利益を生み出せるような薬価の設定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現行の薬価制度において、保険医療上の必要性が高く供給の継続が必要であるものの、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難である医薬品については、不採算品再算定の対象として、改めて薬価を原価計算方式により算定している。

四について

 御指摘の「厚生科学審議会感染症部会等においてkeydrugとして選定すべき抗菌薬を審議し、その結果を基に薬価を変更する仕組みの構築」、「新たな設備投資等により採算割れとなった場合」及び「制限なく申請できる制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現行の薬価制度において、医療上の位置付けが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかであること等により基礎的医薬品として位置付けられた医薬品については、薬価改定の際、原則として薬価改定前の薬価を当該医薬品の薬価とすることとしており、保険医療上の必要性が高く供給の継続が必要であるものの、薬価が著しく低額であるために製造販売業者が製造販売を継続することが困難である医薬品については、不採算品再算定の対象として、改めて薬価を原価計算方式により算定している。

五について

 保険医療上の必要性が高い抗菌薬及びその原薬については、国内の医療提供体制の確保の観点から、その安定的な供給を図ることが重要と考えているが、その製造を国内で行うかどうかについては、一義的には各製造販売業者が判断するものと考えている。