質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一三号

中東地域への自衛隊派遣に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月六日

白 眞勲   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   中東地域への自衛隊派遣に関する質問主意書

 令和元年十月十八日、菅内閣官房長官は、記者会見において、中東地域における平和と安定及び我が国に関係する船舶の安全の確保のために、独自の取組を行っていくこととし、政府として、情報収集態勢強化のための自衛隊アセットの活用に係る具体的な検討を開始するとの方針を確認したことを公表した。
 本件に関し、以下質問する。

一 河野防衛大臣は、同年十一月二十三日、英国国際戦略研究所(IISS)が主催するIISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)において、「情報収集態勢の強化を図るため、日本独自の取組として、自衛隊アセットの活用について検討を開始しました。これは、我が国に関係する船舶の安全は勿論、中東地域の平和と安定に資するものです。」と発言しているが、今般の「自衛隊アセットの活用」は、我が国の情報収集態勢強化のために調査及び研究を目的として実施されるものであり、それを「中東地域の平和と安定に資するもので」あるとするのは、論理的に整合しないのではないか。政府として明確に説明されたい。

二 一般論として、他国が国際的な武力紛争の当事者となっている場合に、自衛隊が当該他国の依頼によらず独自の情報収集活動あるいは警戒監視活動を行い、それらを通じて収集した情報のうち、当該武力紛争の相手国の軍隊の様子、動向等に係る情報であって、当該他国による武力の行使を直接支援することとなる情報を、当該他国に提供することは、日本国憲法第九条との関係で問題を生ずることとなるか、政府の見解を示されたい。

三 本年十二月二日から三日まで、イランのアラグチ政務担当外務次官が訪日し、三日には、安倍総理を表敬したものと承知している。報道によると、安倍総理は、アラグチ次官に対し、中東地域への自衛隊の派遣を検討していることを伝えたとされるが、アラグチ次官より、中東地域への自衛隊の派遣に対し、どのような立場が示されたのか。

四 アラグチ次官は、NHKのインタビューにおいて、日本政府が中東地域への自衛隊の派遣を検討していることについて「日本の最終的な決定を待っているところではあるが、いかなる外国の軍隊もこの地域の安定や安全、平和に貢献するとは思えない」と述べた上で、安倍総理に対し、こうしたイラン側の立場を伝えたことを明らかにしており、イランの報道機関も、このアラグチ次官のインタビュー内容を報道している。中東地域の平和と安定の実現において重要な存在であるイラン政府の高官から、「いかなる外国の軍隊もこの地域の安定や安全、平和に貢献するとは思えない」との発言があったことについて、中東地域への自衛隊派遣を検討している政府として、どのように受けとめているのか。こうしたイラン側の立場に対する政府としての見解を示されたい。

五 前記一において示した河野防衛大臣による「自衛隊アセットの活用」が「中東地域の平和と安定に資するもので」あるとの発言と、前記四において示したイランのアラグチ政務担当外務次官による「いかなる外国の軍隊もこの地域の安定や安全、平和に貢献するとは思えない」との発言は、全く相反しており、中東地域への自衛隊の派遣は見送るべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。