質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一二号

在日米軍駐留経費負担に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月六日

白 眞勲   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   在日米軍駐留経費負担に関する質問主意書

 我が国を取り巻く安全保障環境に対応するためには、日米安全保障体制を中核とする米国との同盟関係を維持することが重要である。一方、在日米軍駐留経費負担の在り方については、我が国の極めて厳しい財政状況等に鑑み、我が国が過度に負担することは避けなければならない。
 このような観点から、以下質問する。

一 米国のトランプ大統領は、令和元年十二月三日、北大西洋条約機構事務総長との会談冒頭において、在日米軍駐留経費に係る我が国の負担額を増額するよう安倍総理に要求した旨発言した。また、トランプ大統領が、米軍の駐留経費に係る負担額の増額を要求する国について、韓国のほかにも五か国あるとして我が国等の国名を挙げたとの報道もある。同月五日の衆議院安全保障委員会において、茂木外務大臣は、「トランプ大統領の発言の概要については承知をいたしております。」と答弁しているが、政府として把握している「トランプ大統領の発言の概要」を示されたい。

二 同年十一月二十一日の参議院外交防衛委員会において、「アメリカ政府から日本政府に対して、何らかの駐留経費の日本側負担分の増額については話があったんでしょうか。」との私の問いに対し、河野防衛大臣は「ございません。」と答弁した。また、「本当に増額とか何かの要求、全くなかったということでよろしいでしょうか。」との私の更なる問いに対しても、河野防衛大臣は「ございません。」と答弁している。この点について、従来、政府は、こうした問いに対して、「外交上のやりとりであり具体的な中身についての詳細は差し控える」旨答弁してきたが、河野防衛大臣が明確に答弁した点は評価できる。他方、前記一において示したように、トランプ大統領は、安倍総理に対し、在日米軍駐留経費に係る我が国の負担額を増額するよう要求したことを明らかにしており、前述の河野防衛大臣の答弁と完全に矛盾している。したがって、トランプ大統領が虚偽の発言をしたか、あるいは、河野防衛大臣が虚偽答弁をしたか、そのどちらか一つである。河野防衛大臣の答弁は虚偽答弁となるのではないか。河野防衛大臣が、あえて「外交上のやりとりであり具体的な中身についての詳細は差し控える」旨の答弁ではなく、明確に「ございません。」と答弁していることを踏まえ、政府の見解を明確に示されたい。

三 十二月五日の衆議院安全保障委員会において、河野防衛大臣は、前記二において示した十一月二十一日の参議院外交防衛委員会における答弁について、「訂正する必要はないと思います。増額要請は受けておりません。」、「少なくとも質問の時点でそうした増額要請は受けておりません。」と答弁している。この点についても、「外交上のやりとりであり具体的な中身についての詳細は差し控える」旨答弁せず、河野防衛大臣が明確に答弁したことは評価できる。そこで、本年十一月二十一日から十二月三日までの間に、安倍総理と米国のトランプ大統領との間で電話会談も含めた対話の機会があったのか、明確に示されたい。

四 仮に、本年十一月二十一日から十二月三日までの間に、安倍総理と米国のトランプ大統領との間で電話会談も含めた対話の機会が無かった場合、前記三において示した十二月五日の衆議院安全保障委員会における河野防衛大臣の答弁も虚偽答弁となる可能性があるのではないか。河野防衛大臣が、あえて「外交上のやりとりであり具体的な中身についての詳細は差し控える」旨の答弁ではなく、「少なくとも質問の時点でそうした増額要請は受けておりません。」などと明確に答弁していることを踏まえ、政府の見解を明確に示されたい。

五 米国政府から在日米軍駐留経費に係る我が国の負担額を増額するよう要求があったとの事実関係については、外交文書の公開等によって、後世において判明することであり、その際、日本政府として、前述のような答弁を行ったことについて、国会との関係でどう責任を取るのか。

  右質問する。