質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇四号

国家公務員に支給される移転料と引っ越しの繁忙期に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月六日

田村 智子   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国家公務員に支給される移転料と引っ越しの繁忙期に関する質問主意書

 国家公務員が引っ越しを伴う異動(以下「転勤」という。)をする際に支給される移転料(以下「移転料」という。)の現状について聞く。移転料は、国家公務員等の旅費に関する法律(以下「旅費法」という。)第二十三条に基づいて支給されている。
 移転料の支給額は、「級」と「移動距離」で定められており、赴任の際に扶養親族を移転する場合は同条の別表第一の額が適用され、扶養親族を移転しない場合はその二分の一の額となる。
 しかし、引っ越し費用に、当事者の俸給表上の級や世帯構成は反映されない。特に級が低い単身者は移転料の支給額が少なく、とりわけ三月の転勤の際は何十万円もの自己負担を強いられ、借金をしてまで引っ越しをする事例が少なくないと聞いている。
 財務省によると、各省庁の会計課が毎年六月から七月分の引っ越し費用を財務省主計局給与共済課に登録する形で行っているサンプル調査(以下「サンプル調査」という。)の結果、移転料は現状に見合った額であるという。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 別表第一の移転料は、一九九〇年に最終改定されてから二十九年間も改定されていない。一度、移転料が本当に実態に見合っているのかきちんと調査すべきではないか。

二 国土交通省と厚生労働省の両省で働く全ての職員の転勤の件数を確認したところ、四月の転勤が最も多かった。三月から四月の引っ越しが多いことが分かる。
 特に三月の引っ越しは、一般的な引っ越しの繁忙期と重なり、引っ越し業者の確保が困難であり、引っ越し費用もはね上がると聞いている。
 また、前記のサンプル調査の際の財務省の各省庁への調査依頼には、「(調査対象の)該当赴任者の総数が五十人以上の場合には、五十人を超える十人ごとに一人を調査対象として加える」とあり、調査対象にどの人物を抽出するかは各省庁に委ねられている。サンプルの抽出に偏りが出ないようにする仕組みもない。
 実際には三月から四月の引っ越しが多いことや、単身者の引っ越しの移転料は扶養親族を伴う場合の二分の一であるといった厳しい実態を踏まえ、前記一の実態調査及び毎年のサンプル調査を実施する際には、引っ越しの繁忙期や単身者についても偏りなく調査対象に加え、旅費法にきちんと実態が反映されるような調査をすべきではないか。

三 財務省からは、旅費法の基本的性格は、かかった費用が補償される実費弁償であると確認している。
 しかし実際には、私の事務所で聞き取りを行ったところ、業務命令での転勤であるのにもかかわらず、引っ越し費用は移転料の額では賄いきれないことが多く、引っ越しの支出総額が移転料よりも六十六万円も高かったケースもあると聞いている。
 転勤に伴い自己負担が発生しないよう、転勤に伴う引っ越しの時期が繁忙期かどうかによって、移転料の加算を行うべきだと思うがどうか。

四 そもそも、引っ越しの繁忙期を避けるような転勤となるようにすべきだと思うがどうか。

  右質問する。