質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

ストックホルム合意と拉致問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月九日

有田 芳生   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ストックホルム合意と拉致問題に関する質問主意書

 平成二十六年五月二十九日の日朝ストックホルム合意から五年半ちかくが過ぎました。この合意に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題をどう解決するのか、政府の見解を伺います。

一 私が平成二十九年一月二十日付けで提出した「政府の「拉致問題が最優先課題」とする姿勢に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第七号)に対する答弁書(内閣参質一九三第七号)において、政府は「政府としては、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている。また、北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を実現していくというものである」(以下「政府方針」とする)と答えています。この政府方針に変更はありませんか。拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題に対する政府の姿勢を、改めて伺います。

二 平成二十九年三月十日付けで中山恭子参議院議員(当時)が提出した「政府の拉致被害者救出に向けた施策に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第五〇号)に対する答弁書(内閣参質一九三第五〇号)の「一及び二について」において、政府は「安倍内閣としては、北朝鮮による拉致問題は我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、政府の最重要課題の一つと位置付け、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現等に向けて最優先で取り組んでいるところである」と答えています。そこで伺いますが、政府がストックホルム合意における日本人に関する全ての問題のなかで、拉致問題に最優先で取り組んでいる理由をお示しください。

三 日本国憲法第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあります。私は、現行憲法に則り、ストックホルム合意における日本人に関する全ての問題の公平な解決を目指すべきと考えますが、なぜ政府にとっては拉致問題が最優先なのか、日本国憲法第十四条との整合性もふくめ、その理由をお示しください。

四 安倍首相は、本年九月十六日、「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会」での挨拶で、「御家族の皆様が、この日本の地で御家族を抱きしめる日がやってくるまで私の使命は終わらないとの決意で、この問題に取り組んでまいります」と述べました。この「私の使命」は、拉致問題だけが解決すれば終わるのですか。ストックホルム合意における拉致問題以外の日本人に関する問題は、安倍首相の解決すべき使命ではないのですか。

五 安倍首相と菅官房長官は前記四の集会でともに挨拶していますが、前記一の政府方針については一言も言及していません。その理由をお示しください。

  右質問する。