質問主意書

第199回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質一九九第一〇号
  令和元年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出ホルムズ海峡におけるタンカー襲撃事案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出ホルムズ海峡におけるタンカー襲撃事案に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 一般に、いかなる場合が「武力の行使」の三要件を満たすかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるところ、お尋ねの「本件事案」については、これを満たしていないと考えているものであるが、これ以上の詳細について明らかにすることは、事柄の性質上、差し控えたい。

二について

 お尋ねについては、米国を始めとする関係国と連携しつつ、引き続き情報の収集及び分析に努めているところである。

三及び五について

 一般に、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難である。その上で、実際に我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、事態の個別具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなる。
 なお、存立危機事態において我が国が「武力の行使」を行う場合に、その国際法上の根拠は、まずは集団的自衛権の行使となる場合が通常であると考えられるが、国際連合安全保障理事会決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置になることもあり得る。集団的自衛権の行使の場合には、国際法上、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が必要であるが、国際連合安全保障理事会決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置の場合には、国際法上、武力攻撃を受けた国の要請又は同意は必要ない。

六及び七について

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条の規定による海上における警備行動をとることのできる地理的範囲については定めておらず、我が国領海のみならず公海上にも及ぶものと考えているが、その任務を達成するために必要な限度で実施することとなる。

八について

 政府としては、中東地域における緊張の高まりを深刻に懸念しており、関係国と緊密に連携しながら、情報の収集及び分析を行いつつ、情勢を注視しているところであり、今後の対応について予断をもってお答えすることは差し控えたい。