質問主意書

第199回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

公職選挙法上の虚偽事実の公表罪に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年八月二日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   公職選挙法上の虚偽事実の公表罪に関する質問主意書

 公職選挙法第二百三十五条第二項は、「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する」と規定している。
 令和元年七月七日、千葉県習志野市での今次の参議院議員通常選挙の応援演説で、安倍総理(自民党総裁)は、「民主党の枝野さん」と呼んだ後、「あ、今、民主党じゃなくて、立憲ですね。毎回変わるから覚えるのが大変」と政党名の変遷を揶揄した発言を公然と行った(以下「安倍総理の発言」という。)。
 七月八日、立憲民主党の枝野幸男代表は、安倍総理の発言に苦言を呈した。東京都内で記者団の取材に対し、「日本の総理大臣が情けない。レベルの低い話だが、選挙妨害になる可能性もある」と発言した。
 安倍総理の発言について、政府の見解を確認したいので、以下質問する。

一 公職選挙法第二百三十五条第二項の虚偽事実の公表罪の規定は、「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめ」ることを罰することで、公正な選挙の執行を担保するという理解でよいか。

二 例えば、立憲民主党は今次の参議院議員通常選挙の比例代表議員選出選挙の名簿届出政党であるが、その代表である者は、公職選挙法第二百三十五条第二項でいう「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」に該当するのか。政府の見解如何。

三 枝野氏自身は今次の参議院議員通常選挙の候補者ではないものの、代表を務める立憲民主党は今次の参議院議員通常選挙の比例代表議員選出選挙の名簿届出政党であり、その政党名について悪意をもって事実と異なる発言を公に行うことは、「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめ」ることにあたるのではないか。政府の見解如何。

四 公職選挙法第一条では、「この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする」と規定されているが、安倍総理の発言は公党の代表を揶揄するものであり、「選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期すること」に反するのではないか。安倍総理の見解如何。

五 前記四に関連して、安倍総理は、安倍総理の発言を撤回し、謝罪すべきではないか。撤回しないとすれば、公職選挙法のいうところの選挙が「公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期すること」に反するのではないか。政府の見解如何。

六 安倍総理の発言は、「日本の総理大臣」としては「情けない。レベルの低い」ものであると考えているのか。政府の見解如何。

  右質問する。