質問主意書

第199回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

感染拡大がとまらない豚コレラの対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年八月一日

紙 智子   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   感染拡大がとまらない豚コレラの対策に関する質問主意書

 豚コレラの感染拡大がとまらない。
 日本では、二〇一八年九月に岐阜県で二十六年ぶりに豚コレラの発生が確認され、二〇一九年二月には愛知県、長野県、滋賀県、大阪府でも発生が確認された。政府は二月五日に新たな強化対策を、四月末には早期出荷促進対策等を打ち出したが感染拡大はおさまらず、七月に入り三重県と福井県でも発生が確認されたことから、豚コレラの発生地域は七府県に広がった。
 現状では豚コレラの封じ込め対策に成功しているとは言いがたく、養豚農家は、先行きが見えず不安をかかえながら緊迫した日々を送っている。このまま事態が推移すれば、日本の養豚農家と畜産関係業界だけでなく、食肉価格が上昇すれば国民生活にも計り知れない影響を与えることになる。よって、以下、質問する。

一 昨年から本年七月末までに殺処分等の対象となった豚の頭数並びに殺処分された豚の被害額(通常、出荷した場合の販売額)を明らかにされたい。

二 地方公共団体において昨年から本年七月末までに豚コレラの対策にかかった行政経費、とりわけ殺処分にかかった人件費等への政府の支援策を明らかにされたい。

三 政府は二月五日に、国が速やかに現地指導を実施すること、現地に「農林水産省豚コレラ現地対策本部」を設置し、職員を常駐させること、野生イノシシ対策を強化することなど新たな対策を打ち出す一方、感染拡大が防げないのは「飼養衛生管理基準が守られていない」からだとし、もっぱら養豚農家の責任であるかのような言動をとってきた。
 ところが、政府が「飼養衛生管理基準の遵守」を強調しても、新たな対策を打ち出しても、三重県や福井県に豚コレラの感染が拡大していることを考えれば、現在の封じ込め対策には限界があり、養豚農家に責任を転嫁してきた政府の責任が問われると考えるが、政府の見解如何。

四 日本養豚協会、日本養豚開業獣医師協会をはじめ関係する団体、地方公共団体から、地域を限定した豚コレラワクチンの接種を求める要望が出ているが、政府は「現時点ではその段階に至っていない」としている。しかし、野生イノシシを介して豚コレラの感染が拡大していることを踏まえれば、地域を限定した豚コレラワクチンの接種を含む新たな対策に踏みだすべきではないか。政府の見解を問う。

五 中国、ベトナム等で発生しているアフリカ豚コレラの国内への侵入を防止するための検疫体制を強化すべきと考えるが、政府の見解を問う。

  右質問する。