質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第八九号

内閣参質一九八第八九号
  令和元年七月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員小西洋之君提出国家安全保障戦略における「積極的平和主義」、「国際協調主義」の意味に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出国家安全保障戦略における「積極的平和主義」、「国際協調主義」の意味に関する質問に対する答弁書

一、二、四及び五について

 憲法の基本原則の一つである平和主義については、憲法前文第一段における「日本国民は、・・・政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」の部分並びに憲法前文第二段における「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」及び「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」の部分がその立場に立つことを宣明したものであり、憲法第九条がその理念を具体化した規定であると解している。
 また、国際協調主義については、憲法前文第二段及び第三段がその立場に立つことを宣明したものであり、憲法第九十八条第二項が我が国が締結した条約及び確立された国際法規の遵守義務を規定しているのも、その現れの一つであると解している。
 国家安全保障戦略(平成二十五年十二月十七日閣議決定)においては、こうした憲法の基本原則に示された理念を当然の前提として、国際社会の中で我が国の進むべき針路を定める観点から、国家安全保障の基本理念として、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を掲げているものである。すなわち、同戦略においては、「平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際政治経済の主要プレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく」としており、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の下での具体的な取組には、国際社会における人権擁護の潮流の拡大への貢献や、貧困削減、国際保健、教育、水等の分野における取組の強化なども含まれているところである。

三について

 国家安全保障戦略における国際協調主義に基づく積極的平和主義については、一、二、四及び五についてで述べたとおり、平和主義等の憲法の基本原則に示された理念を当然の前提としたものであり、「憲法の定める平和主義を否定しようとして、国家安全保障戦略に「平和主義」という文言を記載していない」等の御指摘は当たらない。